ミラクルとストラタス、無停止型Linuxサーバで戦略提携

2005/5/25

日本ストラタステクノロジー 代表取締役社長 長井正利氏

 ミラクル・リナックスと日本ストラタステクノロジーは5月24日、ミラクルのLinuxサーバOS「MIRACLE LINUX」とストラタスの無停止型サーバ「ftServer」における業務提携を結んだと発表した。両社の製品検証はすでに開始している。今後、ストラタスは「MIRACLE LINUX V4.0 Asianux Inside」を搭載したftServerのシリーズを「ftServer Mシリーズ(仮称)」として販売していく予定。

 今回の提携は、ミラクルにとっては、Linux市場で初の無停止型サーバとの提携となり、ハード面を補強することで他社のLinux製品との差別化を図っていくことになる。ストラタスにとっても、Linux搭載ftServerにおける新たなラインアップの拡充によって、拡販につなげることが可能となる。両社が狙うのはテレコム業界である。CGL(キャリアグレードリナックス)の取り組みに積極的な姿勢を示し、なおかつOracleデータベースとの高い親和性を持つミラクルとテレコム業界に太いパイプを持つストラタスの目的が一致した。

 「ftServer Mシリーズ(仮称)」はストラタスから同社の販売パートナーを通じ、各社の製品やサービスを追加しながらリリースする。ミラクルのOSサポートを含むサービスメニューも提供する予定。

 今回のミラクルとストラタスの発表に限らないが、最近、Linuxディストリビュータのそれぞれの趨勢(すうせい)に明確な特徴がうかがえる。ミラクルはCGLに注力することで、テレコム市場における商用UNIX領域への参入意思を明らかにしている。加えて、中国、韓国の企業と共同開発を進めるAsianuxにより、ディストリビューションの市場特性を打ち出している。

 他方、ノベルのSUSE LINUXは、オープンソースプロダクトを豊富に取り入れた企業向け環境の提供に力を入れている。そして、ターボリナックスほどデスクトップ環境に注力しているLinuxディストリビュータもない。“Linuxの方言”を統一しようしたUnitedLinuxの活動が下火になり、逆にLinuxディストリビューションは多様性を求める傾向を強め始めた。この傾向は今後もさらに強まるとみられる。

(@IT 谷古宇浩司)

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ミラクル・リナックスと日本ストラタステクノロジーの発表資料

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