コンサルティングを強化して独を抜く! ボーランド新社長

2005/5/27

 ボーランドは5月26日、記者会見を開催し、新しく同社の社長に就任した河原正也氏が方針説明を行った。今後は組み込み開発市場への営業を強化するほか、コンサルティングやサービスにも注力するという。

新しくボーランドの社長に就任した河原正也氏
  河原氏は大阪府出身の57歳で、趣味は手品だという。同志社大学大学院を経て日本ヒューレット・パッカード(当時は横河HP)に入社。日本HPでは米国HP本社でのプロダクトマーケティングや、アジア地区でコンサルティング事業を経験した。直近は、中国ビジネス統括本部長兼理事だった。同氏は経営方針を、「私は常々、経営者は意思をハッキリ示さなければならない。と思っていたため、これを実行したい。ボーランドのSDO(Software Delivery Optimization)こそが日本のソフトウェア産業再生の道だと考えている」と語った。

 河原氏は、今後産業はデジタルデバイスの時代からデジタルコンテンツの時代へと移行すると考える。「日本が誇るアニメやゲームなどのコンテンツをさらに活性化させていかなければならない」と指摘。携帯電話やDVDレコーダなどの組み込み系ソフトウェアは「年々、倍々で増えていっている。一方でSEは増えていないため、人力に頼りすぎる傾向にある」(同氏)と語り、ヒューマンリソースに依存し過ぎている現状の打破を提案した。

 さらに同氏は日本のソフトウェア産業の欠点を「トヨタなど、製造業では独自の製品管理などの手法を編み出して利用している企業が多くあるが、ソフトウェアではほとんどない」と指摘。価格でも中国が月間開発費20万円/月なのに対して、日本は最低でも60〜80万円/月と数倍もする。このことから、「価格競争では、間違いなく中国やインドには勝てない。日本はもっと付加価値を付けていかなければならない」(河原氏)と警告した。

 特にソフトウェア開発においては、従来の「作り終わってから直す」手法から、カーナビのように、走り出していても常時リルートできる開発手法を取り入れるべきだという。その点ボーランドは、「SDOによって、会社の資産を一元管理および最適管理できる」(河原氏)といった強みがあるという。また、テラクエスト社を買収したことにより、コンサルティングやサービスも強化されるとしている。

 ボーランドは今後、急拡大する組み込み系市場への営業を強化する。まずは、組み込み市場に強いパートナー企業各社との協業を強化した。また、従来のチャネル経由の販売から、コンサルティングを含めたダイレクトセールスに注力していくという。河原氏は、「今後コンサルティング分野を全般的に強化していく。これは、日本HPでコンサルティングを長年勤めた私が社長になったことから、米国本社の意向でもあることが分かるだろう」と述べ、「HP時代、アジアのコンサルティング部門の売上を3倍に増やした実績がある。まず、今後1年間で現在ワールドワイド売上2位のドイツを抜きたい」と抱負を語った。

(@IT 大津心)

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