HDDはシリアル転送が主流に、HPがSASドライブを7月発表

2005/6/8

 日本ヒューレット・パッカードは6月7日、IAサーバ向けに信頼性を高めた「シリアル・アタッチド・SCSI」(SAS)対応のハードディスクドライブ(HDD)とドライブケージを7月上旬に発表することを明らかにした。SAS対応ドライブは、「シリアルATA」(SATA)対応HDDと1つの筐体に混在させることが可能。コモディティ化、低価格化の流れが止まらないIAサーバ市場でシェアを伸ばすため、HPは「業界標準を超える付加価値の提供」を戦略の中心に置き、開発を急いでいる。

 SASはシリアルインターフェイスを採用することで、従来のパラレルSCSIインターフェイスと比較して、信頼性やパフォーマンスを高めた。SASインターフェイスは3.0Gb/sのデータ転送が可能で、従来のパラレルSCSIインターフェイスと比較して高速。回転速度は1万5000rpm。SASインターフェイスは、2006年には6.0Gb/sまで高速化する予定。HPはSASについて4月に富士通や日立製作所、シーゲイトと協力することを発表(参考記事)していた。

米ヒューレット・パッカードのインダストリ スタンダードサーバ グループ・マーケティング・マネジャー ボブ・ムーア氏。左が従来の3.5インチサイズのドライブ。右が7月に発表する2.5インチサイズのSASドライブ

 米ヒューレット・パッカードのインダストリ スタンダードサーバ グループ・マーケティング・マネージャ ボブ・ムーア(Bob Moore)氏は、ストレージの要件として「頻繁にアクセスする必要があるトランザクションデータと、頻繁にアクセスすることはないがデータ量が多くなる参照用データの2つがある」と説明。SASドライブは高信頼性を生かして、基幹系アプリケーションなどのトランザクションデータの保存に利用する考えを示した。

 HPはSASドライブを2.5インチサイズで提供する。従来の3.5インチサイズのドライブと比較して、1台のサーバ内に多くのドライブを格納することが可能で、低消費電力も実現するという。HPは、2.5インチサイズのドライブを格納するため、「スモール・フォーム・ファクター」(SFF)と呼ぶ小型サイズに対応したドライブケージも同時に発表する予定だ。

 HPが発表する予定のSASドライブは、2.5インチサイズでSFFに対応した36GBと72GBの製品。既存のサーバに搭載するために3.5インチサイズのSASドライブ(36GB、72GB、146GB)の製品も発表する。また、ProLiant ML370/ML570/DL580/DL585に搭載することができるSFF対応のドライブケージや、DL360/DL380の新筐体モデル、3.5インチサイズのSASドライブを搭載できるML350用のドライブケージも発表する。

 SAS対応のシステムバックプレーンを使えば、1台のサーバでSASドライブとSATAドライブを混在させることが可能。保存するデータの種類によって高信頼のSASドライブ、大容量のSATAドライブなどと使い分けることができる。HPは2006年以降に出荷するProLiantは、SASインターフェイスに標準対応させるとしている。

 HPはローエンド向けのサーバ直結型ストレージ(DAS)である「StorageWorks Modular Smart Array ファミリ」(MSA)もSASに対応させる。ProLiantと同様にSASドライブとSATAドライブを混在可能にする。ムーア氏はSASドライブについて、「まずはIAサーバとMSA向けに提供する。上位のストレージに提供するかどうかは現在、評価中」とした。

 HPのエンタープライズ ストレージ・サーバ統括本部 インダストリー スタンダード サーバ製品本部 ビジネスプランニング部 部長 橘一徳氏は、SASドライブの価格について、「価格が導入のバリアになることは避けたい」と述べ、従来製品と同程度の価格になることを示唆した。

(@IT 垣内郁栄)

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日本ヒューレット・パッカード

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