サンにとって次の技術的ブレークスルーとは何か?
2005/6/14
サン・マイクロシステムズは同社の将来を左右する新たな製品群の展開中だ。Solaris 10の発表に続いてSolarisをオープンソース化し、またAMD Opteron採用のマシンを積極的に展開しつつ、ストレージベンダのStorageTekを買収したばかりである。かつてサンのソフトウェア部門を率い、現在はネットワークシステムズグループを担当するサンのエグゼクティブバイスプレジデント ジョン・ファウラー(John Fowler)氏は現在の状況を「製品のポートフォリオをリフレッシュした」と表現する。サン・マイクロシステムズはリフレッシュした製品群とともに、どこへ向かおうとしているのだろうか。
サン・マイクロシステムズのエグゼクティブバイスプレジデント ネットワークシステムズグループ ジョン・ファウラー氏 |
「ネットで最大の成長分野はシェアドサービス」だとファウラー氏は指摘し、同社が目指すネットワークコンピューティングが実現に向かっていることを暗に示した。企業向けシェアドサービスの最大の成功者であるSalesforce.comは、サン製品の大口ユーザーでもある。
しかし、ネットで大規模なサービスを提供している企業の代表であるGoogleやAmazonは、残念ながらSolarisではなくLinuxを利用しているといわれている。サンとしてこのことはどう考えているのだろうか?
「Salesforce.comと比べると、Googleは自分たちのシステムを非常にカスタマイズしているようだ」と述べ、ファウラー氏はLinuxが選択された理由としてソースコードに対する自由度を挙げる。そして、オープンソース化されたOpenSolarisなら同じように高い自由度を提供したうえで、Linuxよりも企業にとって有利な要素があると強調した。「OpenSolarisなら、カスタマイズへのニーズに答えられるようになる。しかもOpenSolarisのライセンスはGPLではなく、ソースコードを改変した企業がコミュニティに知的財産を返すことを要求しない。つまり、改変した部分を公開しなくてもいい。また、サンがソースコードに含まれた特許の利用を許可しているので、OpenSolarisを利用する企業はLinuxで心配されるような訴訟への心配が不要だ」。
そのOpenSolarisとそのベースとなるSolaris 10では、OS上で複数の仮想OSを実現する「コンテナ」機能が目玉の1つだ。ファウラー氏は、仮想化技術においてサンは「サーバを仮想化するだけでなく、ストレージも、ネットワークも仮想化する製品を提供」しており、同社は業界をリードしているとした。しかし、仮想化技術をどのように企業の情報システムで活用するかは「技術の問題ではない」という。「企業のポリシーや、情報部門のスタッフがどのように考えるかに依存する」(ファウラー氏)。
サンが思い描く次の技術的なブレークスルーは何だろうか。「PtoPとアイデンティティ管理にある」というのがファウラー氏の見解だ。「何百万、何億というデバイスがネットワークで相互につながり、デバイス同士のPtoPを可能にすること。そして、それを利用するユーザーのアイデンティティを確立するのは大変なチャレンジだ。(以前この課題にチャレンジしたプロジェクトである)JiniやJXTAは、出てくるのが少し早すぎたかもしれない」(ファウラー氏)。
(@IT 新野淳一)
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