「最も働きやすい企業」SASが考えていること
2005/6/17
「オペレーティングプロセスだけでなく、インテリジェンスをユーザーに与えることが重要だ」。米SAS Internationalの戦略担当 上級副社長 アラン・ラッセル(Allan Russell)氏はこう述べて、次世代のビジネス・インテリジェンス(BI)が果たす役割を説明した。「CIOはクビにならないために投資のメリットを示す必要がある。その鍵はユーザーにいまの経営状態を理解させると同時に、将来を予測可能にすることだ」。
米SAS Internationalの戦略担当 上級副社長 アラン・ラッセル氏 |
SASは「Beyond BI」の名称で、経営の将来を予測し、経営判断を支援する次世代のBIを提唱している。2004年3月に発表した「SAS 9」はそのBeyond BIを実現する製品との位置付けだ。従来のBIでは企業内の過去のデータから現状の分析しかできなかった。しかし、SASが目指すBeyond BIは市場環境の予測を通じて、業務の最適化を行う。
SASのBIはEIPをベースに、データインテグレーション、データマネジメント、アナリシスと3つのコンポーネントで構成される。その上に業務や業種別のソリューションを組み合わせる。ラッセル氏は予測を実現するテクノロジとして「3つある」と説明。1つ目は統計手法を使って過去のデータのパターンを分析する「フォーキャスティング」。2つ目は経営に関するベストのケース、最悪のケースを予測し、事業の最適化を行う「オプティマイゼーション」。3つ目は業務の「モデリング」。ラッセル氏は「週ごとに最適化されたモデルを出力し、決定を支援するレコメンドを出す。経営層はこのレコメンドを参考に決定する」と説明した。
SASといえば、「最も働きやすい企業」で有名。フォーチュン誌が毎年発表するランキングの最新版では総合で16位に選出されている(SASの発表資料)。ラッセル氏は、SASが働きやすいと評価される理由について「長期的なものの見方をしているからでは」と説明。SASは非上場のため、四半期ごとに株主のチェックを受けることがなく、「継続性を重視する」(ラッセル氏)。「私は20年以上SASで働いているが、入社当時の顧客とまだやりとりがある。バリューを築き続けている」。人材活用も巧みで、研究者として入社しても本人の希望によってマーケティング部門に移ることが可能。そして数年でまた研究職に戻るスタッフもいる。「部門の境界を越えて、自分を成長させることができる。R&Dも活発で新しいものが次々に出てくるので、退屈している暇がないね」。
(@IT 垣内郁栄)
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SAS Institute Japan
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