[eWEEK]
OpenSolarisは生まれる時代を間違えた?

Steven J. Vaughan-Nichols
2005/6/18

 Longhorn失速というチャンスはあるにせよ、「Mactel」が話題をさらい、Linuxが関心を集めるいま、OpenSolarisは2〜3年前に登場していた方が注目されただろう。

 ついにサンのOpenSolarisの時がやってきた。6月14日、たくさんのソースコード――ビギナー向けのインストーラはないが――が市場に届けられた(「OpenSolarisはコミュニティーに愛されるか」)。

 それでもある意味では、いまは(夏の熱気が押し寄せているものの)OpenSolarisが登場するにはちょうどいい時期だ。

 週を経るごとに、マイクロソフトのLonghornは素晴らしい機能を次々と落としていっているようだ。いまやこのOSは、Windows XPの高価なサービスパック程度のものにしか見えない。

 最近、シェルとスクリプト言語の素晴らしいコンビネーションであるMonadの搭載が取りやめになったのは、Longhornファンにとってつらいことに違いない。

 マイクロソフト支持者は、「Longhorn帝は丸裸だ」という人たちにぶつけたいことをすべてぶつければいい。

 しかしマイクロソフトは実際、次世代OSでへまをやっているように思える。

 マイクロソフトがLonghornで動転しているいま、サンがOpenSolarisを投入してマインドシェアを獲得するにはいい時期ではないだろうか?

 確かにそうなのだが、ここでほかに話題を奪おうとしている人物がいる。アップルコンピュータのスティーブ・ジョブズCEOだ。

 インテルの街では、新しいOSの話題はもっぱらMac OS Xとその基盤となるオープンソースの「Darwin」に集まっている。

 わたしが話をした人はたいてい、Mac OS Xをインテルハードで動かせるのか、あるいはWindowsをMactelマシンで動かせるのかに夢中になっていた。1年前から騒がれていたものの、OpenSolarisの話題がMacの話題よりも盛り上がっているということはほとんどない。

 今後のMactelとの競争を別にしても、サンは開発者と企業顧客の心をつかむうえでもっと差し迫った課題を抱えている。

 開発者とISV(独立系ソフトベンダ)は、マカフィーのような大手でも、プラムツリーソフトウェアのような垂直プレイヤーでも、かつてないほどのハイペースでLinux対応ソフトを開発している。何より重要なのは、顧客がLinuxに目を向けているということだ。

 Linuxにビジネスドリームを託しているのは小さな企業だけではない。シティグループ、イー・トレードなどの大会社も企業の中心にLinuxを据えている。

 なお悪いことに、サンから見れば、これら企業顧客の多くがSolarisからLinuxに移行しつつある。

 わずか数週間前にニューヨークのLinuxWorld Summitで、イー・トレードのCTO(最高技術責任者)ジョッシュ・レビン氏は、同社が「サンのポスターチャイルド」からLinuxへの改宗者になったと話した。

 ああ、なんてことだ。

 そのうえ、サンがOpenSolarisのコードにCDDL(Common Development and Distribution License)を適用すると発表したことが、一部オープンソース開発者の熱意を削いでいる。

 もしもエンタープライズ環境で両方のOSを扱いたいというのであれば、Black DuckとVA SoftwareのProtexIPとSourceForgeを組み合わせたようなシステムを使うことをお勧めする。

 6月13日に発表されたこのパッケージは、一方のOSのコードがもう一方に混ざっていないことを確認できる。

 サンはまた、発展し得る開発者コミュニティーを築くという困難な作業にも直面している。

 同社はOpenSolarisサイトでいいスタートを切った。

 ユーザーがOpenSolaris向けのフリーソフトバイナリを開発しているBlastwave.orgや、以前からSolaris向けフリーウェアを手がけているSunfreeware.com(OpenSolarisにも対応する)のようなサイトも幾つかある。

 それでも、Linuxのコミュニティリソースと比べると、OpenSolarisが成長するまでの道のりは長い。

 サンはLinuxからの挑戦に応えなければならなかった。同社のUNIX顧客がLinuxに流れるのをOpenSolarisが止められるかどうかは、いずれ時が経てば明らかになるだろう。

 2〜3年前――例えばLinux 2.4が登場する前――にOpenSolarisが登場していたら、OS関連の最大のニュースになっていただろう。だがいまは一方にMac OS X、もう一方にLinuxの三つどもえの戦いだ。

[英文記事]
OpenSolaris: A Time to Be Born

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