[Interview]
セールスフォース〜“自分仕様のアプリを作ってください”
2005/7/9
セールスフォース・ドットコムは7月7日、プライベートイベント「Summer'05 Customer Success Forum」を開催した。今回は、米セールスフォース・ドットコムのグローバル・マーケティング担当シニア・バイスプレジデント フィル・ロビンソン(Phill Robinson)氏に話を伺った。
――今回のバージョンアップ「Summer'05」では「Multiforce 1.0」が目玉機能といえるが、この機能を実装するために苦労したか。
ロビンソン氏 確かにMulriforceの開発には労力が必要だったが、CustomforceやSalesforce、Sforceといったほかの機能も並行して開発した。それぞれを3〜6月まで並行して開発し、6月10日に一気にリリースするというスケジュールになった。
全ユーザーを一気にアップデートできるのはASPサービスである「salesforce.com」の利点だろう。既存のパッケージ製品では、アップデートするのに社内検査が必要だったり、コストが掛かったりして全ユーザーがアップデートするまでに大変な時間が掛かるのが現状だ。
――米セールスフォース CEO マーク・ベニオフ氏の講演内でsalesforce.comと「Google Maps」を連動させるデモを披露していたが、このようなアプリケーションはユーザー自身が作る必要があるのか。
米セールスフォース・ドットコム グローバル・マーケティング担当シニア・バイスプレジデント フィル・ロビンソン氏 |
従って今後は、当社がプラットフォームであるMultiforceを提供し、そのうえで動くアプリケーションをパートナー企業が作っていく形態となるだろう。引き続きSFAの「Salesforce」やCRM「Supportforce」も提供していくが、SFAやCRM以外にもユーザーが必要なアプリケーションがある場合には、ユーザー自身/パートナーが自分の目的にあったアプリケーションを作成すればよくなるのだ。
つまり、Windowsのデスクトップのような土台にMultiforceが存在し、そのうえにあるアイコンがアプリケーションであるイメージだ。パートナーはユーザーのために独自のアプリケーションを作成し、デスクトップのうえのアイコンをどんどん増やしていくだろう。
――そのような戦略になると、販売ターゲットに変化が出てくるのではないか。
ロビンソン氏 今後の当社の販売ターゲットは「ロングテール理論」に基づいたものになる。ロングテール理論とは、「あらゆるものに適用できる汎用的なものは全体の10%程度にすぎない。そのほかの90%は各社各様のものである」というもので、「Amazon.com」や「Google」がこの理論を実現している。
例えば、従来の書店は売れ筋上位10%の商品をメインに棚に置き、マニア向けは置いていなかった。しかし、Amazon.comの登場によってユーザーは本屋では探しにくかった残り90%の本を購入できるようになった。当社はこれの業務アプリケーション版を実現したい。Multiforceの登場によってこの90%の層へのリーチが可能となり、新規ユーザー開拓へ繋がるだろう。
――ASPサービスという観点から、中小企業にも向いているのではないか。
ロビンソン氏 salesforce.comの平均ユーザー数は、1社当たり20人程度だ。1社で数千ユーザーが利用している企業もあることから、1社当たり数人〜5人程度で利用している企業が多いだろう。このように中小企業においては、特にASPのメリットを享受できるはずだ。
今後日本のユーザーには、Multiforceを活用して、大いに自分仕様のアプリケーションを作ってほしい。
(@IT 大津心)
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