RFIDはまだまだこれから〜IIJとHPが協業

2005/8/2

 インターネットイニシアティブ(IIJ)とアイアイジェイテクノロジー、日本ヒューレット・パッカード(HP)の3社は8月1日、RFID(無線ICタグ)の国際標準規格であるEPCglobal Networkに準拠したRFIDプラットフォームの実用化に関して協業すると発表した。3社で共同研究を進め、企業間の国際物流における実用に耐える「グローバル・リアルタイム SCM」を提供するとしている。

IIJ 代表取締役社長 鈴木幸一氏
  総務省は、RFIDの利用/活用が2007年前後から加速度的に進展すると予測しており、RFID技術も2010年には広く普及すると見込んでいる。世界市場規模も、2005年ではRFIDタグの数量は95億個だが、2010年には1500億個と15倍以上に増えると予測されている。米国では、EPCglobal Networkの中心的存在でもある米ウォルマートが精力的にRFIDを取り入れ、標準化を推進している。HPも同社が出荷しているプリンタ(年間5000万台)すべてにRFIDを添付する計画も立てているという。

 一方の日本ではUHF帯電波(952〜954MHz)が、2005年4月にRFID用途に対して開放されたばかりであり、「米国よりもかなり遅れているのが実情だ」(日本HP 専務執行役員 営業担当 飯塚雅樹氏)と分析。今回の協業によって研究を進め、日本におけるRFIDのイニシアティブを取りたい考えだ。HPでは、北米の拠点でRFIDを活用した実験を行っているが、2006年には東南アジアなどの生産拠点にまでRFIDを普及させたいとしている。

日本HP 専務執行役員 営業担当 飯塚雅樹氏
 今回の協業では、「EPCglobal Network準拠システムの実用化に関する共同研究」「HP RFID Noisy ラボ・ジャパンにおけるRFIDプラットフォームの共同提供」「企業間国際物流におけるRFIDプラットフォームの提案と構築」の3分野で協力する。共同研究では、複数国・地域をまたがる物流分野に向けた基盤構築技術の開発を目指す。実験は、2005年5月末に運用を開始したばかりの「HP RFID Noisy ラボ・ジャパン」において、RFIDプラットフォームの実用環境を構築し、研究成果の評価/検証行う。また、ユーザー自身が検証できる仕組みも提供する。これらの活動を通して、RFIDプラットフォーム「グローバル・リアルタイム SCM」を2006年後半から2007年にかけて実現したいとしている。

 IIJ 代表取締役社長 鈴木幸一氏は、「現在のRFIDは誰が儲けるのか分かりにくいが、それはインターネットの黎明期も同じだった。現在はインフラを育てる時期であり、長い目でビジネスにしていきたい」と現状を分析。「今回の協業によって具体的な事例を進めて、標準化を推し進めていきたい。実際に事例を積み重ねることこそが、標準化を最も推し進める手段だと思う」と語り、事例を重ねることで日本における標準化のリーダーシップを取っていく考えを示した。

(@IT 大津心)

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IIJ発表資料

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