PC操作を計測、分析し業務プロセスを“カイゼン”、BPIとは?

2005/8/26

 米エピアンスの日本法人、日本エピアンスは8月25日、年内にも「ビジネスプロセス改善」(Business Process Improvement:BPI)のソフトウェアを国内で出荷すると発表した。BPIは、業務プロセスの中で、PCを操作する人の動きやパフォーマンスを監視、分析することでビジネスプロセスを改善する考え方。人の操作はこれまでコンサルティングファームがスタッフへのアンケートなどを行って改善してきたが、エピアンスのBPIソフトウェアを使うことで自動化できるとしている。

日本エピアンスのバイスプレジデント ビジネス・コンサルティングの鈴木潤一氏

 エピアンスはもともと人のPC操作をモニタリングしてeラーニングのコンテンツを作成するソフトウェアを販売。国内でも代理店を通じて販売してきた。BPIソフトウェアの開発はこのPCのモニタリング技術を活用し、人が行うPC操作の履歴をすべてログとして残す。キーボードで入力される数値や文字はもちろん、画面のキャプチャもPCにインストールしたエージェントを通じて行う。

 日本エピアンスのバイスプレジデント ビジネス・コンサルティングの鈴木潤一氏によると、エピアンスのBPIソフトウェアはこのログからERPなどで構築されるビジネスプロセスを仮想的に再現することができる。個人のPC操作とビジネスプロセスの個別のフローを結びつけることで、ビジネスプロセスの処理にどれだけ時間がかかっているかなどを計測し、プロセスのネックを探し出す。「人が操作した生のデータからビジネスプロセスをリバースし、ビジネスプロセスの抽象的な段階まで戻すことができる」(鈴木氏)

 ビジネスプロセスのパフォーマンスを測定するソフトウェアは「BAM」(ビジネス・アクティビティ・モニタリング)などがすでにあるが、「BAMはERPを通るデータしか計測できない」(鈴木氏)。エピアンスのBPIソフトウェアはERPにひも付かない、各スタッフが使うオフィスソフトウェアの操作も計測できる特徴がある。計測によって各スタッフのPC利用を分析し、生産性を向上させる狙いもある。

 エピアンスのBPIソフトウェアによって期待できるのは、人の生産性を測定し、プロセスのネックを探す「BPI」と、アプリケーションごとの利用率やパフォーマンスを監視し、無駄なライセンスの購入などをなくす「アプリケーション・ポートフォリオ」、PCやサーバの利用率を計測して最適な構成を探る「サイジング」の3つの機能。鈴木氏は「まずはアプリケーション・ポートフォリオ、サイジングの製品を日米同時に出荷する」と述べた。米国で5社程度の早期導入顧客を開拓し、国内でも数社の顧客に早期導入を目指す。

日本エピアンスの代表取締役社長 松浦徹氏

 外資ソフトウェアベンダの日本法人は通常、販売・営業の拠点として設立されることが多い。しかし、日本エピアンスは米本社やインドで行っているBPIソフトウェアの開発に積極的に関与していく方針。レッドハットの前社長で日本エピアンスの代表取締役社長に就任した松浦徹氏は、BPIソフトウェアの開発終了前に日本法人を立ち上げることで「世界に対して貢献し、日本の存在価値を高められる」とみている。日本法人の上場も検討する。

 一方、米本社は日本の製造業が誇る“カイゼン”などの生産性向上の手法を吸い上げて、BPIソフトウェアに反映させたいという思いもあるようだ。日本法人には、米本社に出資する2つのベンチャーキャピタル、ノーウェスト・ベンチャー・パートナーズとアウトルック・ベンチャーズ、そして三井ベンチャーズ(エム・ヴィー・シー)が出資する。三井ベンチャーズのパートナー 山本哲也氏は「エピアンスについては日本の市場への期待度が大きい」と述べた。

(@IT 垣内郁栄)

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日本エピアンス

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