ドコモの新端末はケータイ版“電車男”?
2005/8/30
NTTドコモは8月29日、AM、FM、TVの3バンドに対応したラジオチューナー搭載携帯電話「RADIDEN」(ラジデン)を発表した。開発元のソニー・エリクソンによると、AMラジオチューナーを搭載した携帯電話は世界初だという。
RADIDENはmovaのコンセプトモデルで、AM、FM、TVの3バンドに対応したラジオチューナーを搭載。カメラ機能は搭載していない。ラジオチューナーと携帯電話の電源は別になっており、ラジオだけ、携帯電話だけに電源を入れるといった使い方もできる。デザインは、片面が携帯電話、片面がラジオとなっている「デュアルフロントデザイン」を採用した。
ラジオ側の面。ラジオ専用液晶や一発選局ボタンなど、ラジオに利用するボタンが並ぶ | 携帯電話側の面。普段利用する携帯電話とあまり変わらない |
NTTドコモ プロダクト部長 永田清人氏は、FOMA端末ではなく、mova端末にラジオ機能を搭載した理由を「movaの技術は成熟しているため、技術的に難しいAMラジオを搭載するのに向いていた」と説明。また、RADIDENのターゲットは“ラジオと携帯電話の双方を利用する40代〜50代男性”だが、「この年代ではmovaの比率が約80%であることから、mova端末にラジオ機能を搭載したことはマーケティング的に適している」と分析した。
技術的には、AMラジオが利用している周波数は、その特性上、外部からの影響を受けやすい。従って、「特に内部回路からさまざまなノイズが発生する携帯電話と組み合わせるのは、技術的にかなり苦労した」(永田氏)という。結果的には、ソニーとソニー・エリクソンがノイズを減らす技術を搭載したラジオチューナーを共同開発し、チューナーを配置する場所などを工夫した結果、RADIDENの開発に成功した。
RADIDENの片面は一般的な携帯電話と同様に、1.9インチ液晶やボタンなど携帯電話に利用する機能が配置されている。反対の面に裏返すと、ラジオ専用液晶や一発選曲用の7つのボタンなどラジオに利用するボタンなどが配置されている。ラジオは端末のスピーカーで聞くこともできるほか、イヤホンで聞くこともできる。また、ラジオを聞きながらiモードを利用することも可能だ。ラジオを聞いているときに電話が掛かってきた場合には、ラジオがフェードアウトして電話の音声が聞こえるようになり、電話を切るとまたラジオが聞けるようになっているという。
左から、ニッポン放送 垣花正氏、NTTドコモ プロダクト部長 永田清人氏、文化放送 野村邦丸氏、TBSラジオ 中村尚登氏 |
RADIDENの発表会に登場したニッポン放送の垣花正氏は、「携帯ラジオは電化製品では窓際族だ。一方、家電量販店における携帯電話は会社でいえば1番目立つ場所にいる受付嬢。RADIDENはその両極にいる2人が結婚したようであり、いわば家電版の電車男だ」とコメント。文化放送 野村邦丸氏は、「ラジオ番組ではアンケートを取ることがよくあるが、RADIDENでは番組を聞きながら、即時にアンケートに答えることができる」と語り、新しい可能性を示唆した。また、TBSラジオ 中村尚登氏は、「RADIDENの企画が立ち上がった3年前に参加したが、まさか実現できるとは思わなかった」と語った。
永田氏は「RADIDENのビジネスモデルは中年男性の囲い込みだ。FOMA端末への搭載は技術的な問題が解決した時点になるだろうが、まだ数年後ではないだろうか」と語った。
(@IT 大津心)
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NTTドコモ発表資料
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