iPodの仕組みを動画に応用できた者が勝つ! 〜NTTドコモ
2005/9/3
MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)は9月2日、PDA専門展示会「PDA・モバイルソリューションフェア2005」を都内で開催。MCPC副会長であるNTTドコモ プロダクト&サービス本部 ユビキタスサービス部長 徳広清志氏が、「ユビキタスブロードバンドサービスの展開に向けたケータイの進化形」と題した講演を行った。徳広氏は通信事業の次のトレンドは動画配信であると予想。著作権対策として、音楽分野で成功しているiPodの仕組みを応用し、動画配信に持ち込めたものが、動画配信事業を制するだろうと予測した。
徳広氏は冒頭、「2年前でPDAは底を打ったといわれている。現在は再び立ち上がりつつある市場だ」と分析。ブロードバンド回線などの普及によって、「仏はでき上がっている状態で、これから魂を入れる段階に来ていると経済産業省も説明している」と語った。
MCPC副会長/NTTドコモ プロダクト&サービス本部 ユビキタスサービス部長 徳広清志氏 |
一方で、ビデオ・オン・デマンドによる動画配信には、大きく分けて2つの障害が存在すると指摘。1点目はビジネスモデルの面だ。徳広氏は、フジテレビの例を挙げ、「テレビ最大手といわれるフジテレビの年間売上は、5000〜6000億円といわれている。これを365日24時間で割るとざっくり1時間当たり約1億円の売り上げになる。逆に考えると、1時間当たりのインフラ維持費用などのコストを1億円以下にしなければならない。恐らく現時点では難しいだろう。この点が現在の問題だ」と説明した。2点目は著作権の問題で、動画配信ではまだこの問題をクリアできていないという。しかし、徳広氏は音楽分野ではこれを克服し成功した例があるとした。「もちろん、iPodを成功させたアップルコンピュータのスティーブ・ジョブズ氏だ。iPodが成功した方法の延長上に動画配信を成功させる秘密が隠されているのではないだろうか。現時点では、まだそれを発見したプレーヤーはいないようだ」と述べた。
新ワイヤレスブロードバンド技術の標準化動向では、携帯電話系のITU系無線通信(3G)とIEEE系無線通信(WiMAX)の大きな流れが広域帯移動通信を目指しているとし、ユビキタス時代に近づいていることを強調した。また、NTTドコモが独自に推進している「スーパー3G(3.9G)」については、「遅延が最大の問題だ」(徳広氏)とし、現在の2〜10ミリセカンド程度発生している遅延を、なんとか0.5ミリセカンドにまで縮めたいとした。そのためには、シンプルなネットワーク作りが重要であるという。
携帯電話の進化には、マルチメディア化、ユビキタス化、グローバル化の3種類の軸があり、それらのセキュリティを確保しつつ、発展させることが今後の課題だという。そして、拡張性の一環として4月に発表したビジネスケータイ「M1000」を挙げた。M1000はiモードに対応していないが、通常のフルブラウジングやPOPメールの送受信機能などを備えており、無線LANなどでの接続もできることから、徳広氏は「一種のパソコンが中に入っているようなものだ」と例えた。C++やJavaなどでの独自アプリケーション開発ができる点も特徴だ。NTTドコモは、M1000向けのモバイルインターネット接続サービス「mopera U」を開始し、さまざまな使い方に応える環境を用意した。事例では、すでにアサヒビールやJTBなどが、「mopera U」を利用した営業支援システムや海外からの接続機能を応用し、利用し始めているという。
最後に徳広氏は、米国、韓国、日本における、「LAN、WANへの社外からの接続状況」を紹介。この調査によると、米国では、PDAを使ってLANやWANに接続するユーザーが50%、具体的に接続する予定があるユーザーも20%いる。一方、日本はすでに使っているユーザーが30%、予定があるユーザーが20%の計50%だという。このことから、徳広氏は「PDAから社内へ接続したいニーズはまだまだ広がる可能性を秘めている。M1000による新しい使い方の提案なども含めて、さまざまな可能性を今後も広げていきたい」と語り、講演を締めくくった。
(@IT 大津心)
[関連リンク]
PDA・モバイルソリューションフェア2005
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