BPMのポイントは“トリガー情報”の使い方

2005/10/15

 米ペガシステムズとインドに本社を持つ日本法人サティヤム コンピュータ サービス リミテッドは10月14日、両社共催でBPM(Business Process Management)ソリューションなどを紹介する「BPMソリューションセミナー」を開催した。ここでは、デジタルハリウッド大学教授 匠英一氏の講演を紹介する。

デジタルハリウッド大学教授 匠英一氏
 ペガシステムズは米国を中心にBPM製品を販売するベンダで、GEやAIGなど大手を中心に世界150以上の導入実績を誇る。サティヤムはインドに本社を置くコンサルティング企業。両社は2005年7月にパートナーシップを拡大し、日本を含むアジア市場におけるBPMサービスの提供を開始した。

 匠氏は国内の50社を調査してきた中で、「いかにサービスに対応し、顧客のニーズに応えることができるのか?」が重要であるという。企業と顧客の関係性の変化を分析すると、最もレベルの低いものに「場当たり的な対応」が挙げられるという。この手法は人数が少ない場合には、対応できるが顧客が増えると対応が難しくなる。次に低いものに、メーカーが70〜80年代に行っていたもので、明確なニーズに対して単純製造を行っていたというものだ。これはニーズが多様化してきたため、マッチングする手法に変化したという。Amazon.comの個人向けポータルなどがこのよい例だ。

 次に多様化したニーズがさらに専門化してくることで、企業は問題解決力が必要になったという。現在では、さらに高度化し、顧客と双方向の価値創造力が必要だという。匠氏は例として化粧品のコミュニティサイト「アットコスメ」を挙げた。アットコスメは、ユーザーが化粧品について口コミを書き込むコミュニティサイトだ。運営会社のアイスタイルは、この口コミ情報を集計・分析したうえで、化粧品会社へコンサルティングサービスの一環として提供(販売)している。化粧品会社はこの情報をマーケティングに利用している。同氏は、「化粧品会社にとって、最も欲しい“ユーザーの本音の気持ち”をアットコスメは口コミ情報として集めている。これは化粧品会社のマーケティング部門がアットコスメに代わったようなものだ。今後は『この本音をいかに製品に反映することができるプロセスを作るか?』がポイントになってくるだろう」と予測した。

 匠氏は、プロセスをうまく作るポイントを、「リスクを気付かせる『トリガー情報』をいかに上手に設置するか」と説明した。ある建築会社の例で、できる営業マンとできない営業マンの仕事プロセスの違いを分析したところ、できる営業マンは見積もりを提出する1週間前に相手のキーマンに会って、事前に見積もり内容を相談していたという。同氏はこの「キーマンによる事前のチェック」がトリガー情報であるとし、ほか会社のSFAに「見積もり提出前に必ずこのトリガーを実施する」ように設定したところ、全社的に成功率が向上したという。

 このほか、“お客さま本意をモットーにする”といった「方向目標」や、“本年度は売上10億を達成する”といった「成果目標」、“そのために毎月100人のお客さまを訪問する”などの「プロセス目標」の3つをうまく連携させることで成功できると説明した。最後に匠氏は、「顧客の声を聞き、トリガー情報をうまく利用する“顧客価値を創造するITシステム構築”がビジネスの複雑性に即応できるBPMを達成することができるだろう」と語り、講演を締めくくった。

(@IT 大津心)

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サティヤム コンピュータ サービス リミテッド

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