「65歳まで働けます」、日本IBMが2007年問題にらみ新制度
2005/10/28
日本IBMは10月27日、一般社員を対象に60歳の定年を過ぎても最長で65歳まで働くことができる人事の新制度「シニア・エキスパート」(仮称)を2006年4月に導入すると発表した。定年の延長を段階的に実施し、2013年度に65歳までの雇用を企業に義務付ける「改正高齢者雇用安定法」を先取りする内容。能力に応じて社員の「出入り自由」を認める考えも明らかにし、「働く意識が多様化する中で、その受け皿を作る」(日本IBM 執行役員 人事担当 松永達也氏)としている。
日本IBM 執行役員 人事担当 松永達也氏 |
シニア・エキスパートは55歳以上で、「高い能力を有し、今後も会社への貢献が期待される社員」(IBM)が選択できる制度。定年扱いで退職した後で単年度の雇用契約をIBMと結ぶ。契約を更新して最長で65歳まで週3〜5日で働くことができる。対象は係長相当職以上。技術、営業など職種は問わない。IBMは同様の制度で週4日の勤務、62歳まで雇用を延長できる「プログラマーズ・アドバイザー」があったが、労働時間の選択を柔軟にし、働ける年齢も引き上げた。松永氏は「現在、55歳以上のIBM社員は1000人弱いる。より長く働きたく思っていて、会社としても長く働いてほしい人に利用してもらいたい」と述べた。
IBMはIBMフェローや認定プロフェッショナルなどの高度専門職の社員を対象に、60歳の定年後に65歳まで単年度契約で雇用する制度もある。また、コンサルタント職対象の制度「プロフェッショナル・コントラクト」の雇用期限を60歳から65歳まで延長し、対象を技術系職種にも広げる。プロフェッショナル・コントラクトは、有期雇用契約で、目標達成時の報酬額が大きいのが特徴。IBMとは初回に2年または3年の雇用契約を結び、成果に応じて更新できる。契約期間の上限は3年だが、原則は1年単位。
同じくコンサルタント職が対象の制度「セルフ・エンプロイド」は、個人事業主としてIBMから業務委任を受ける。従来はコンサルタント職だけの制度だったが、対象を技術系職種にも拡大する。契約に年齢は関係なく、50歳以前でも選択可能。プロフェッショナル・コントラクト、セルフ・エンプロイドとも、安定度は低いが目標達成時の賞与の割合が大きいハイリスク・ハイリターン型の雇用形態といえる。
松永氏は「(団塊世代の社員が大量に退職する)2007年問題のためにこれらの制度を導入したわけではないが、結果的に2007年問題にも対応でき、働き方の多様性を奨励できる」と説明。「マチュアな人やIBMを離れた人に戻ってきてもらうのもOK」と述べ、能力に応じて社員の「出入り自由」を認める考えを示した。
(@IT 垣内郁栄)
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日本IBMの発表資料
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