これからのSAPはERPよりもCRMに注力?
2005/11/2
SAPジャパンは11月1日、CRM(Customer Relationship Management)の最新バージョン「mySAP CRM 2005」日本語版の出荷を開始したと発表した。2003年6月にリリースした「SAP CRM 4.0」から2年ぶりの新バージョンとなり、「2年分のアップデートが盛り込まれた製品だ」(SAPジャパン バイスプレジデント ストラテジックソリューション事業本部長 三村真宗氏)と語り、自信を見せた。
SAPジャパン バイスプレジデント ストラテジックソリューション事業本部長 三村真宗氏 |
SAPでは、CRMを“バックオフィス(ERP)以外のすべての業務”と新たに定義。2004年時点での米国におけるCRMのシェアは、SAPが約47%、オラクル・ピープルソフト・シーベルの3社合計が約40%で、3社の合計シェアをSAPが上回っているという。ただし、2004年の日本市場では、まだ3社合計を下回っているとした。
SAPジャパンは、従来ERPを販売するルートとして営業マンが情報システム部や財務経理部などに対して営業活動を行うことが多かった。しかし、この営業ルートでは、CRMの利用部門であるコールセンターや営業部門にアプローチできないことを懸念。新たにCRMだけを販売する営業スタッフを6名用意し、営業部門やコールセンター、経営者に直接働きかける営業活動を開始したという。その結果、CRMの新規獲得顧客数は2004年の49件から大幅に増加し、2005年には170件に達する見込みであり、約3〜4倍に新規獲得顧客が増加したとしている。三村氏は「これからは、CRMに特に力を入れていく」と語っており、今後CRM事業に力を入れていくことを明らかにした。
また、mySAP CRM 2005ではマーケティング機能を大幅に強化。「MRM(Marketing Resource Management):マーケティング資源管理」を搭載した。三村氏は、「欧米ではITを活用したマーケティングが急速に普及しているが、日本ではまだまだであり、マーケティングのIT化が非常に遅れている。その一因として広告代理店との密接な関係もあるが、果たしてそれだけだろうか」と問題提起。マーケティング部門は広告を出すだけではなく、ブランドマネジメントやマーケティング予算配分、顧客セグメンテーション&顧客ターゲティングなどの活動もするべきであるとし、「個人情報保護法の観点からも、顧客情報はマーケティング部門が一元管理すべきなのでは」(三村氏)と提案した。
実際MRMでは、顧客情報からコンタクトセンター向けの「コールリスト」や、営業向けの「ターゲットリスト」、保守サービス向けの「予防保守対象リスト」などを抽出可能。これらのデータを抽出することで、「いままで受身だった活動を能動的なものに変えることができる」(三村氏)と語り、メリットを強調した。
三村氏は「CRMの勢力図は確実に変わってきている。現在は、外資系企業子会社が本国の意向で導入するケースが多い。しかし、時代の流れとしてCRMの必要性が増しているため、日本企業も導入するケースが増えるだろう。当社ではCRMの国内シェアを今後も増やすべく、会計よりもCRM分野に注力するつもりで活動していきたい」と語った。
(@IT 大津心)
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