SAPジャパン藤井社長が退任、その理由を推測すると……

2005/7/22

 SAPジャパンは7月21日、代表取締役社長の藤井清孝氏が7月31日付で退任し、SAPアメリカの北東地域のシニア・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー ロバート・エンスリン(Robert Enslin)氏が後任の代表取締役社長に就任すると発表した。藤井氏は2000年1月に社長に就任し、売上高を当時から約3倍に伸ばした。

SAPジャパン 代表取締役社長を退任する藤井清孝氏

 SAPジャパンによると、藤井氏は「SAP R/3からmySAP ERPへの移行というSAPジャパンの第2の成長期を担った。第3の成長期はこれから始まる『エンタープライズ・サービス・アーキテクチャ』(ESA)や中堅市場への取り組み。ここが1つの節目と判断した」と退任についてコメントしているという。藤井氏は在任中に売上高を伸ばすだけでなく、顧客数を5年で500社から1300社に増大させ、「主要産業においてデファクト・スタンダードの地位を築いた」。

 藤井氏は8月1日からヘルスケア・アウトソーシング企業、クインタイルズ・トランスナショナル日本法人の代表取締役社長に就く。藤井氏には昨年から社長就任の打診がいくつかあり、3カ月前にクインタイルズ・トランスナショナルが白羽の矢を立てて、就任を決断した。クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパンでは「IT、ヘルスケアと業態は違っても経営に求められる能力は共通。ビジネスの拡大を期待したい」とコメントしている。

8月1日付で社長に就任するロバート・エンスリン氏。42歳

 8月1日付でSAPジャパンの新社長に就任するエンスリン氏は13年前にSAPに入社。SAP南アフリカを経て、1997年にSAPアメリカに移動。2003年からはSAPアメリカ北東地域のシニア・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーを務めている。

 SAPジャパンの発表では、クインタイルズのオファーによって藤井氏が退任を決断、エンスリン氏が就任ということになる。しかし、SAPジャパンの最近の業績はSAPの他の現地法人と比べると芳しくなく、SAP本社から藤井氏へのプレッシャーがあったとも推測できる。

 SAP本社が7月21日に発表した2005年度第2四半期の決算によると、SAPジャパンのソフトウェア売り上げは前年度同期と比較して11%の減少だった(総売上高は3%増)。日本を除くアジア・太平洋地域のソフトウェア売り上げは45%の増加だったので大きく見劣りすることになる。SAPジャパンのソフトウェア売り上げは、2004年度に前年度比15%減少し、SAP本社はSAPジャパンの落ち込みの原因を「マクロ経済の状況」「内部の執行の問題」などとしていた。2005年度第1四半期はプラスに転じたが、第2四半期になって再び落ち込んだ。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
SAPジャパン

[関連記事]
ユーザー会がSAP幹部に直接質問、「日々の疑問を聞く」 (@ITNews)
「すでにRunできる状態」、SAPの次期構想「BPP」が明らかに (@ITNews)
SAP NetWeaverの次期リリースでBPM機能が完全統合 (@ITNews)
実は仲良し? オラクル、SAP両社長がSOA巡って対談 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)