狙いは政府系金融の“リスク”、ニイウスが買収で上流拡大
2005/11/23
ニイウスは11月22日、金融機関向けに数理分析やデータマイニングのサービスを提供している金融エンジニアリング・グループ(FEG)の株式を100%取得し、子会社化すると発表した。FEGが強みを持つリスク管理業務のノウハウを獲得することで、金融機関の顧客基盤を拡充することが狙い。取得金額の払い込みは11月30日。来年1月以降はニイウス金融エンジニアリング・グループに社名を変更し、持ち株会社ニイウス コーの傘下にする。買収金額は明らかにしなかった。
左からニイウス 代表取締役会長 末貞郁夫氏、FEG 代表取締役 中林三平氏、ニイウス 代表取締役社長 森直樹氏 |
ニイウスは金融機関向けのインフラ構築に強みを持つが、「金融業界のビジネスが大幅に拡大する中、金融機関からはアプリケーションのノウハウが期待されている。しかし、ニイウスは上流のアプリケーション・ノウハウに弱かった」(ニイウス 代表取締役会長 末貞郁夫氏)。「日本の名だたる企業がのどから手が出るほどほしがるノウハウを持つ」(末貞氏)というFEGを買収することで、金融機関向けの上流コンサルティングを強化する。
ニイウスが目をつけたのはFEGのリスク管理事業。数理分析やデータマイニングの手法を活用して、金融機関が与信審査などを行う場合のリスクを計算する。FEGによると金融機関向けの数理コンサルティングで同社の市場シェアは50%超で、「他社の追随を許さない」(末貞氏)。FEGの売り上げの7割以上は継続的な顧客からの売り上げで、顧客の支持も高い。金融機関が提供するリスク商品が多様化する中でリスク管理事業のニーズは高く、ニイウスでは「数理コンサルの市場は年10%以上の伸びが期待できる」とみている。
FEGの代表取締役 中林三平氏は、ニイウスによる買収について「データ分析は強力なベンダが上流から下流までの体制を整えつつあり、FEGが上流だけに特化していて日本の金融をよくすることができるのかと考えてきた。ニイウスとは技術、顧客基盤とも重複せず、純粋にシナジーが期待できる」と述べた。
ニイウスの末貞氏はFEG買収によるシナジーについて、上流のコンサル事業への参入やFEGとの共同提案による受注機会、顧客基盤の拡大などで「50億円くらいのシナジーを創出でき、ニイウスの売り上げに貢献してもらえる」と述べた。
上流コンサルを強化するニイウスの動きは、政府系金融機関の民営化を見越した結果だ。郵政公社や住宅金融公庫を民営化する動きを受けて、「政府系金融機関が民営化されると一般の金融機関と同じリスクにさらされる。リスク管理の動きが高まる」(末貞氏)と判断した。すでに政府系金融機関と良好な関係を結んでいるFEGを取り込むことで、ビジネスを拡大できるとみている。
(@IT 垣内郁栄)
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ニイウスの発表資料
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