インテンシアが新ERP投入へ、「手組みは長期的に高コストだ」

2005/12/27

 インテンシア ジャパンは12月26日、同社ERPパッケージの新版「Intentia Application Suite 5.2」(IAS 5.2)を2006年1月末にも発表する考えを明らかにした。現行のMovex 12.4のブランドを変更した製品。インテンシアの社長 カマル・シャルマ氏は手組みのアプリケーションが残るファッション業界、設備保全市場をターゲットにする方針を説明した。

 IAS 5.2はMovex同様にJavaベースのアプリケーションで、主に中堅・中小規模の企業向け。Movexのエンジン部分やモジュールを継承する。出荷時期は未定。海外では2005年秋に発表されていた。IAS 5.2が狙うのはインテンシアが強いファッション業界や設備保全業界。シャルマ氏はブランドやOEM製造、通販、アパレルなどMovexがファッション業界のさまざまな企業で使われていることを説明し、「ファッション業界では手組みのソフトウェアを使っているケースが多いが、業界で増えているEDI的なビジネスに対応できない。手組みソフトウェアは長期的にはコスト高になる」と述べた。

 また、設備保全についても「海外ではSAPを導入している企業でも、設備保全だけMovexを入れるケースがある」と指摘し、競争力の高さをアピールした。シャルマ氏は「インテンシアはファッションや設備保全、食品・飲料など絞り込んだバーティカルな市場を、絞り込んだパートナー企業と共に攻める」と語った。

 また、インテンシアは導入作業を簡易にした中堅企業向けの新ERPパッケージ「OneBox」を1月下旬にも発表することを明らかにした。OneBoxはプラットフォームをIBMのiシリーズ、ユーザーを50人以下に限定したオールインワン製品で、「ERPの基本が入っている」(インテンシア)。カスタマイズ不要のため短期間で導入できるという。SAP Business OneなどWindowsベースの中小企業向けERPに対抗する。

 インテンシア本社は2005年6月に米ローソン・ソフトウェアに買収された。両社は2006年4月末までに合併する予定。シャルマ氏は両社の統合によって「2006年中ごろまでにはERPベンダで世界のビッグ5に入るようになる。インテンシアも従来強かった欧州から北米に進出できる」として買収を歓迎する意向を示した。ローソンは公共向けや製薬業向けのアプリケーションが主力で、インテンシアの製品と重ならないなど統合によるメリットを早期に出すことができるという。

 ローソンのアプリケーションは日本語版がなく、日本法人も設置されていない。国内での顧客は数社と見られ、2006年4月末の統合作業終了後は現インテンシアが主体となってローソン製品の販売やサポートを提供することになりそうだ。インテンシアの本社は統合で社名をローソン・ソフトウェアに変更する方針だが、日本ではコンビニエンスストアのローソンが存在するため、ローソンを名乗ることは難しいかもしれない。シャルマ氏は「日本ではどうなるか分からない」としている。

(@IT 垣内郁栄)

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インテンシア ジャパン
米ローソン・ソフトウェア

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