日本の商慣習を優先、SAPが設備保全ソリューションを本格化
2005/11/9
SAPジャパンはプラントなどの設備保全を管理するEAM(Enterprise Asset Management)ソリューションを本格展開する。来春にEAMソリューションを組み込んだ「mySAP ERP 2005」を出荷。欧米と比べてシェアが低い日本のEAM市場を開拓する。外注業者への依存の高さなど日本の商慣習にあったソリューションを用意するという。
SAPジャパン ソリューション統括本部 PLMソリューション プリンシパル 松村浩史氏 |
設備保全の管理は、プラントの機器情報、設置情報、変更履歴などを管理し、適切なタイミングでメンテナンスできるようにする。日々のメンテナンス作業の進ちょく管理やスケジューリング、コスト計算なども含む。「設備ライフサイクル全体の最適化」(SAPジャパン ソリューション統括本部 PLMソリューション プリンシパル 松村浩史氏)が1つの目的だ。
SAPが来春投入するEAMソリューションの特徴は外注請負など日本の商慣習を考慮に入れていること。日本企業の保全管理は、プラントオーナーが保全管理をまとめて外注業者に発注することが多いため、「プラントオーナーは保全の詳細を把握できず、次の改善へのデータ分析ができない」(松村氏)という。SAPのEAMソリューションは業者別や工場別に工事単価を管理できるようにしたり、保全指示書と発注を連携させて、外注業者ごとに発注を一本化可能にする。「外注業者を管理しながら改善のプロセスを回すことができる」(松村氏)という。
日本市場の開拓はこれからだ。グローバルのEAM市場ではSAPのシェアは2位。しかし、国内の顧客は30社で「メジャーではない」(松村氏)。SAPは既存顧客間での情報共有を促して、EAMソリューションの使用方法や改善点を見つけ出す考え。新規顧客としては石油・化学や素材、電力などの業種を中心に開拓する考えだ。
(@IT 垣内郁栄)
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