モバイルとBIの組み合わせがサイベースの新戦略
2005/12/28
サイベースは、「主要データベースベンダの一角」と呼ばれた立場から、BI(ビジネスインテリジェンス)とモバイルにフォーカスする独自のポジションを持つベンダへと脱皮しようとしている。米サイベースのシニアバイスプレジデントで、戦略とM&Aなどを担当するマーティ・ベアード(Marty Beard)氏にサイベースの変化と目指す市場について聞いた。
──サイベースのビジネスの現状を教えてください。特に日本ではデータベースベンダとして知られていますが、サイベース自身はここ数年で戦略が変化しているようです。
ベアード氏 その通りで、いまサイベースは“BI”と“モバイル”にフォーカスした戦略を採っています。そしてそのことを、あらためて市場に向けて認知してもらっているところです。
特に2005年は、過去5年間のうち最も成功した年になりました。8億2000万ドルの収入があり、その55%は米国外からあがったものです。ワールドワイドのソフトウェアベンダの規模では、トップ25に入るものと認識しています。
──いまフォーカスしているというモバイルの戦略とはどのようなものですか?
米サイベース Senior Vice President, Corporate development and Marketing担当のマーティ・ベアード氏 |
ベアード氏 サイベースは、企業のアプリケーションをモバイル化するテクノロジを備えている点でユニークです。例えば、携帯電話やPDAなどのモバイルデバイス上でデータを管理するテクノロジや、企業内のデータベースサーバとの同期、万が一デバイスが盗まれた場合のセキュリティのテクノロジなどはもちろん、電子メールや在庫管理などをモバイルデバイス上で実行するモバイルアプリケーションのテクノロジも持ちます。しかも多くのメジャーOS、ワイヤレス環境に対応できます。こうしたテクノロジで、いままで社内でしか扱えなかった業務データが、リアルタイムで現場で参照したり入力できるようになるのです。
──モバイルだけでなく、引き続き企業向けデータベース製品も扱っていますね。
ベアード氏 モバイル関連のビジネスは、ビジネス全体の3分の1程度の割合です。残りの3分の2は依然としてデータ管理、データ統合といった分野のビジネスです。DBMSのAdaptive Server Enterpriseの最新バージョンである15は、データが自動的にデータベース内で暗号化されるなど、非常にセキュアな製品です(日本では2006年に発売予定)。また、OLAPサーバのSybaseIQはサイベース製品の中で最も成長している製品です。
SybaseIQとモバイル製品を組み合わせることで、企業はリアルタイムにデータを分析し、それをどこからでも取り出せるという、モバイル対応のエンタープライズアプリケーションが実現できます。
──モバイルと企業アプリケーションを統合できる経験を持つインテグレータなどは多くないと思います。パートナーとの関係はどのように考えていますか?
ベアード氏 製品開発においてインテルはサイベースにとって重要なパートナーです。セントリーノなどモバイルのチップにわれわれのソフトウェアを最適化しています。セールスフォース・ドットコム、シーベル、SAPなど業務アプリケーションベンダや、シンビアン、PalmOS、PocketPCなどのモバイルOSを提供しているベンダともパートナーシップを組んでいます。もちろん、ソリューションを構築するISVも重要で、現在1100社のパートナーがいます。
──アプリケーションのモバイル化は企業の情報部門にとってもチャレンジですね。
ベアード氏 業務アプリケーションをモバイル化していくというのは、まだトレンドとして初期の段階ですが、多くの人々がその利点に気付き始めています。業務アプリケーションとモバイルの両方に精通している人材が多くないのは事実ですが、それを理解しているのがサイベースのユニークな強みです。
企業の情報部門でも確かにチャレンジですが、大手企業ではすでにそういう人材がいると思います。そして、過去の業務アプリケーションをWeb化するときにそうだったように、モバイル化に際しても、重要になってくるのは、新しい技術に対応できる若いアーリーアダプターといえる人たちになるではないでしょうか。
(@IT 新野淳一)
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