[BEA eWORLD 2004開催]
次世代モバイル技術が担うWebアプリケーションの未来
2004/5/28
写真1 BEAのチーフ・アーキテクトのアダム・ボズワース氏 |
「BEA eWORLD 2004」の2日目の基調講演には、BEAのチーフ・アーキテクトのアダム・ボズワース(Adam Bosworth)氏が登壇、BEAの考えるモバイル技術であるプロジェクトAlchemyについて講演した。Alchemyとは錬金術の意。非金属を貴金属に変成する術のことで、BEAでは「誰もが望みながら誰も実現できなかった秘儀」の意味を込めてこの技術をAlchemyなるコードネームで呼んでいる。
携帯電話を始めとしたモバイル・デバイスの普及速度は凄まじい。これまでモバイル・デバイスにPCクライアントと同等の機能を持たせようと多くのエンジニアが挑戦してきたが、満足のいく結果を得ることはできなかった。WAPやi-modeは確かにAlchemyが目指す理想に近い技術だが「ブラウジングに関してはPCとは比べものにならず」(ボズワース氏)、エンタープライズ・アプリケーションのクライアント実装技術としても心許ないのが現状だ。J2MEでも「低レベルのアプリケーションしか開発することができない」(ボズワース氏)。
Alchemyが実現するのは、「完全に非同期なクライアント」「ローカル・キャッシュの技術」などで構成される、次世代ブラウザを実装したモバイル・クライアントおよびこのようなモバイル・クライアントが稼働するエンタープライズシステムだ。「まだコンセプトにすぎないが」とボズワース氏は前置きをしながら、同技術のイメージを語った。モバイル・デバイスのコネクティビティはパーフェクトである必要はない。むしろ、ネットから切断している状況が当然だと発想を変えてみる。そのうえで、ネットの接続、非接続環境を問わず、アプリケーションをストレスなく使用できる技術を実現すればいい。
ボズワース氏は、“NEXT GENERATION BROWSER”として、写真2のようなイメージを提示し、さらにクライアントサイドとサーバサイドでデータの同期を行う全体のアーキテクチャ(写真3)を示した。アプリケーションのプログラミングモデルの核はデータの同期にある(写真4)。ボズワース氏は、ネット非接続状態で更新したデータをクライアント側でキャッシュしておき、ネットに接続後、同期するというデモンストレーションをみせながら、Alchemyのイメージを伝えた。
写真2 NEXT GENERATION BROWSERのイメージ。画面をクリックすると拡大表示されます | 写真3 クライアントサイドとサーバサイドでデータの同期を行う全体のアーキテクチャ。画面をクリックすると拡大表示されます |
写真4 プログラミングモデルの核。画面をクリックすると拡大表示されます |
クライアント・デバイスはIEやNetscape Navigatorのような標準のWebブラウザ、あるいは携帯電話に実装されているコンパクトなブラウザに軽量のプラグインを追加したものである。このプラグイン部分には、シンプルなスクリプトやキャッシング技術、ビジネスロジックなどが含まれる。このプラグインとスクリプトによるビジネスロジックの同期の仕組みなどをBEAが開発するのだが、Vice President of Product Marketing の Kirk Krappe 氏によると「(プラグインや同期の仕組みを)将来的にはオープンソース・コミュニティに提供する話が社内で議論されている」だという。
(編集局 谷古宇浩司)
[関連リンク]
日本BEAシステムズ
BEA eWorld 2004
BEA eWorld Japan 2004
[関連記事]
BEA、プログラミング・モデルをオープンソース化する (@ITNews)
「過去と未来をつなぐ橋」、それがBEA WebLogic Platform 8.1 (@ITNews)
SOA時代に求められるエンジニアの資質とは、BEA (@ITNews)
Webサービス時代の新戦略でIBMとの違いを示したBEA (@ITNews)
インテグレーション・テクノロジの津波がやってくる (@ITNews)
Webサービス開発フレームワークの標準化に1歩前進、BEA (@ITNews)
情報をお寄せください:
最新記事
|
|