ボーダフォン、サムスンの最薄ケータイで“攻勢”へ

2006/1/19

 ボーダフォンは2月18日、2006年春商戦向けに、第2世代携帯「V403SH」と第3世代(3G)携帯「Vodafone 804SS」「Vodafone 804N」「Vodafone 904T」の3機種を3月中旬に発売すると発表した。また、受信したメールを3D表示する「デルモジ表示」、メディア配信サービス「Vodafone live! CAST」、アドレス帳をサーバ上でバックアップする「ボーダフォンアドレスブック」の3種類の新サービスを合わせて発表した。

女性が手に持っているのが、14.9mmで世界一薄いサムスン電子製の第3世代携帯電話「Vodafone 804SS」
 「ラブ定額や家族定額などを発表した2005年の後半を、反転攻勢のポイントと位置付けた。今後は攻勢に出て行きたい」と語ったのは、ボーダフォン 執行役員副社長 コンシューマー事業統括本部長 野副正行氏だ。ボーダフォンの2005年は年間で4.3万件の純減と、初めて年間で純減という厳しい結果だった。この結果を野副氏は「おととし(2004年)の施策を間違えたのが大きい」と反省。「経営陣を一新し、新しい経営陣で好転させたい」と意気込みを語った。

 2005年後半には、ラブ定額や家族定額などの新料金プランを打ち出し、11月には5万件、12月も6.4万件の純増と勢いを取り戻しつつある。この点について、「11月と12月の新規加入者の半分以上がラブ定額か家族定額に加入していることからも、これらのサービスが受け入れられている証拠だろう」(野副氏)と語り、これらの料金プランを中心に攻勢に出ることを明らかにした。

 2006年春商戦向けの新端末は、第2世代携帯「V403SH」と第3世代「Vodafone 804SS」「Vodafone 804N」「Vodafone 904T」の3機種。中でも、国内で初めての韓国サムスン電子製端末となる「Vodafone 804SS」が注目を集めた。Vodafone 804SSは、音楽再生機能や130万画素4倍ズームカメラ昨日などを搭載した3G携帯電話。最も特徴的なのは、3Gとして世界一薄い14.9mmという厚さだ。140Mbytesの内蔵メモリを搭載しているほか、ドキュメントビューワ機能でWordやExcellファイルを閲覧することもできることから、ボーダフォン 専務執行役 プロダクト・サービス開発本部長 太田洋氏は「ヤングビジネスマン向けにぴったりの機種に仕上がった」と評価した。日本で先行販売し、発売後は他国でも販売する方針だ。

 Vodafone 804Nは、音楽再生機能、200万画素カメラなどを搭載した機種。450Mbytesの内蔵メモリを搭載しているので、1000曲程度の音楽を収納できるという。Vodafone 904Tはフルスペックの高級機。おサイフケータイ機能や320万画素カメラなど、ハイスペック仕様となっている。また、今回の新機種の中で唯一おサイフケータイ機能を搭載した。

 V403SHは、3種類のストライプカラーが特徴の第2代世代携帯。ファッション性を重視し、若年層向けの製品に仕上げたという。

左)ボーダフォン 執行役員副社長 コンシューマー事業統括本部長 野副正行氏 右)ボーダフォン 専務執行役 プロダクト・サービス開発本部長 太田洋氏。両氏が手に持っているのは新端末4機種

 新端末に合わせて発表されたサービスは、「デルモジ表示」「Vodafone live! CAST」「ボーダフォンアドレスブック」の3種類。デルモジ表示は、受信したメールの内容を分析し、本文に合った内容の3Dアニメーションを受信画面に表示するというもの。これらの機能は、受信側の端末だけで処理・表示させるため、送信元に関係なく利用できる。

 Vodafone live! CASTは、深夜2〜7時というネットワーク帯域に余裕のある時間帯に、携帯電話に向けてプッシュ配信するコンテンツ配信サービス。ダウンロードしたコンテンツは、その後圏外でも読むことができる。月額料金は、パケット代込みで月額315円。太田氏は、「当初のコンテンツ配信は映像を含まない。従って、雑誌に近いイメージだろう」と説明した。

 ボーダフォンアドレスブックは、SyncMLの機能を利用して、端末内の電話帳データなどをサーバ上でバックアップ保管するサービス。バックアップしたデータは、PC上で作業することもできる。月額105円。

 今後の展開について野副氏は、「モバイルSuicaは現在、JR東日本の品質チェックを受けている段階だ。ワンセグ対応も検討中。2006年の基本戦略は、まず基本インフラである3Gの通信網を強化する。すでに基地局を拡充しており、人口カバー率99.8%まで向上してきた。3Gの契約者数は1年間で200万を超え、現在では全加入者の15%まで増えている。2005年11月〜2006年1月では、契約者の半分以上が3Gを選択している」と語り、今後の方針を示した。

(@IT 大津心)

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