HDD市場を予測、「2006年はSASがパラレルSCSIを超える」
2006/6/3
サーバに接続するストレージのインターフェイスが、従来のパラレルSCSIインターフェイスからシリアル・アタッチド・SCSI(SAS)インターフェイスに急速に移行しつつある。ストレージ用コントローラ、半導体を製造している米LSIロジックのストレージ・コンポーネンツ・グループ OEMマーケティング・ディレクターのロビン・ワグナー(Robin Wagner)氏は、「2006年はSASがパラレルSCSIを超える年だ」と語り、下半期にはSAS対応ハードディスクドライブ(HDD)の出荷が400万台に達するとの見通しを示した。
米LSIロジックのストレージ・コンポーネンツ・グループ OEMマーケティング・ディレクターのロビン・ワグナー氏 |
SASはサーバとHDDを接続するためのインターフェイス規格。最大転送速度が320MB/sのパラレルSCSIに対して、SASはワイドリンクによって最大24GB/sの転送が可能。接続できるHDDも15台のパラレルSCSIに対してSASは1000台以上と「パフォーマンス、スケーラビリティが高い」(ワグナー氏)。
また、エントリレベルのサーバではHDDがシリアルATA(SATA)に急速に移行している。SATA対応HDDはSAS対応HDDと混在させることも可能。ワグナー氏は「急速に伸びているSATA対応HDDの背後にはSASのコントローラがある」と語り、SATA対応HDDの普及もSASインターフェイスの伸びを後押ししていることを説明した。米ガートナーは2006年、世界のHDD市場の半数をSAS/SATA対応HDDが占めると見ている。
SASインターフェイスを搭載したサーバも増えてきた。NECが5月25日に発売したIAサーバ「Express5800/120シリーズ」の新製品は、LSIロジックのSASコントローラを搭載。ソフトウェアRAIDやゼロ・チャネルRAIDをサポートする。SAS対応HDD、SATA対応HDDの両方を利用可能。NECのクライアントサーバ事業部 統括マネージャ 藤田哲也氏は、SASインターフェイスの採用について「マザーボードがすべて置き換わるインテルの新しいプラットフォーム(開発コード名:Bensley)が1つのタイミングだった。パラレルSCSIではこれ以上の性能が難しいとの判断もあった」と語った。SASインターフェイスはほかのサーバベンダも採用を進めている。
SAS対応HDDのラインアップもそろってきた。2005年3月に業界で初めて2.5インチのSAS対応HDD(1万回転)を量産出荷した富士通は、2008年度までに同じ2.5インチSAS対応HDDで、1万5000回転の製品を出荷する計画。3.5インチのSAS対応HDDの量産もすでに開始していて、「今年後半以降、パラレルSCSIからSASへの転換が始まる」(富士通 ストレージプロダクト事業本部 第一事業部 事業部長 菅谷誠一氏)と見ている。SAS対応HDDは日立グローバルストレージテクノロジーズやマクスター、シーゲイトなども出荷している。
(@IT 垣内郁栄)
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