富士通が新製品で対応、ブレードサーバに多い要望のトップ3とは

2006/6/16

 富士通は6月15日、新開発のブレードサーバを中心にミドルウェアやサービスを組み合わせたシステム製品「TRIOLE BladeServer」の販売を開始すると発表した。フロントエンド中心の利用から基幹系アプリケーションにブレードサーバの利用が広がる中、「ライフサイクルを見越したソリューション提供が重要」(富士通 経営執行役 サーバシステム事業本部長 山中明氏)と判断した。TRIOLE BladeServer向けに事前検証したテンプレートの提供も開始し、企業のニーズに応える。

富士通 経営執行役 サーバシステム事業本部長 山中明氏

 TRIOLE BladeServerは新開発のブレードサーバ「PRIMERGY BX620 S3」、10ギガビット対応のスイッチブレード「PRIMERGY BX600 スイッチブレード」、ITリソースを管理する「Systemwalker Resource Coordinator V13」「導入・構築サービス」「保守延長オプション」などで構成する。

 PRIMERGY BX620 S3はインテルのデュアルコアXeonプロセッサ 5080/5060/5050を搭載。DIMMスロットを8枚搭載し、最大で16GBのメモリ実装を可能にした。シリアル・アタッチドSCSI(SAS)対応のハードディスクドライブを搭載する。山中氏は「たくさんのサーバを統合するにはキャパシティが重要と考え、最新・最速のCPU、業界最大クラスのメモリ容量、業界最高速のネットワークを搭載した」と語った。

 運用管理ツールのSystemwalker Resource Coordinator V13は新たにネットワーク構成の自動化を可能にした。VLANに対応し、ネットワーク環境を仮想化。ネットワークの物理的な構成変更があってもアプリケーション側での設定変更を行わなくていいようにした。Resource Coordinatorはブレードサーバ上に統合した複数の業務に関してサーバやストレージ、ネットワークのリソースを可視化でき、管理を自動化できる。また、障害が発生したブレードサーバの業務を別のブレードに自動で引き継がせるSANブートにも対応する。

富士通が発表した「TRIOLE BladeServer」。ブレードサーバのほかにストレージやネットワーク機器などを組み合わせている

 山中氏によると、ブレードサーバの引き合いで多いのは、高信頼システムの構築(43%)、業務サーバの集約(24%)、シンクライアント(19%)など。富士通はこれらのニーズに対応するためにハードやミドルウェアをあらかじめ検証する「TRIOLE BladeServerテンプレート」を開発した。Resource Coordinatorのほかに「VMware Infrastructure 3」「Citrix Presentation Server」を組み合わせて、「サーバ集約」「高信頼システム」「クライアント統合」のカテゴリで計8種のテンプレートを用意する。上記のSANブートセットは高可用型テンプレートして提供する。システムを工場で組み上げて、ブレードやストレージ、ミドルウェアの基本設定をあらかじめ行う「TRIOLE BladeServer導入・構築サービス」も始める(参考記事)。

 また、「ブレードサーバは企業にとって長期間の投資基盤」(山中氏)との考えから、ブレードサーバのシャーシの保守期間を従来の最長5年から、2年延長できるようにする。計7年の保守が可能になり、「安心してブレードサーバを導入、ブレードを増設できる」としている。

 PRIMERGY BX620 S3サーバブレードは7月下旬に出荷開始で、価格は47万円から。2006年度のPRIMERGY全体の国内出荷目標は9万5000台。現在10%以下のブレードサーバの国内市場シェアを、早期に20%まで伸ばすのが目標。PRIMERGY全体のおけるブレードサーバの台数比率は5%程度だが、「伸び率は高い」(富士通)という。

(@IT 垣内郁栄)

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富士通の発表資料

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