構築、検証済みブレードを提供、富士通がBTOで来春開始
2005/12/10
富士通は12月9日、ブレードサーバとスイッチ、ストレージなどのハードウェアとミドルウェアを富士通の工場で組み上げて、稼働を事前検証したセットを顧客に届ける「TRIOLEデリバリサービス」を、2006年春にも試験的に開始することを明らかにした。顧客の注文を受けて組み上げるビルド・ツー・オーダー(BTO)のサービスで、顧客側での構築・検証期間を最大3分の1に短縮できるという。試験の結果を受けて早期に本格展開を目指す方針。富士通では「このような試みは業界でも初ではないか」としている。
富士通 プラットフォームソリューションセンター エンタープライズシステム統括部 プロジェクト部長 有山隆史氏 |
TRIOLEデリバリサービスで提供するのはブレードサーバを組み込んだ「SAN Bootセットモデル」。ブレードサーバの「PRIMERGY BX620 S2」とファイバチャネルスイッチ、SANストレージの「ETERNUS3000」、リソース管理ソフトウェアの「Systemwalker Resource Coordinator」を組み合わせたセットで、「顧客はスイッチを入れるだけの家電感覚で高可用性のブレードサーバを使うことができる」(同社 プラットフォームソリューションセンター エンタープライズシステム統括部 プロジェクト部長 有山隆史氏)。SAN Bootセットモデルはハードウェアやソフトウェアを別々に購入して組み合わせる場合と比較して、最大半額の価格になるという。
富士通はサーバなどのハードウェアとミドルウェアを顧客の業務に合わせて事前構築、検証した「TRIOLEテンプレート」のブレードサーバ版を開発した。ブレードサーバ版TRIOLEテンプレートを活用して、TRIOLEデリバリサービスのラインアップを拡充していく。ブレードサーバだけでなく、ラックマウント型サーバでもBTOを検討する。
富士通は分散したサーバの統合先としてブレードサーバを提案している。ブレードサーバは電源やファンなどが冗長化されているためハードウェアの故障が少なく、また、ブレードの抜き差しによる迅速な拡張が可能、ミドルウェアによってリソースを仮想化することでブレードの故障時にも業務を止めることなく運用保守ができるなどのメリットがあるという。「スケールアウト型のサーバ集約にはブレードサーバが最も効率的」(有山氏)。
同社はブレードサーバを使ったサーバ統合のサービスメニューを整理した。診断フェイズ、検証フェイズ、設計・構築フェイズ、運用・保守フェイズの段階に分かれたサービス。診断フェイズでは顧客のインフラ資産を分析し、あるべき統合案を提示するアセスメントのサービスを提供する。検証フェイズではブレードサーバ100台を用意した専用検証センターを東京・浜松町の「Platform Solution Center」に開設した。設計・構築フェイズでは上記のブレードサーバ版TRIOLEテンプレートやTRIOLEデリバリサービスを提供。運用・保守フェイズではサーバやストレージ、ネットワーク、ミドルウェアなどの障害に一括して対応する「SupportDeskパック」を用意する。
(@IT 垣内郁栄)
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