Ajaxのデメリットを克服する「Arax」、バージョン2を公開

2006/6/20

 オープンソース・ジャパン(OSJ)は、Flash形式のWebアプリケーションを生成する新手法「Arax」を採用したリッチクライアント開発技術「ダイナミック・コックピット・テクノロジー」のバージョン2を、5月末に完成させた。バージョン2ではXML定義の仕様の一部を公表し、Webサービス連携を強化した。ダイナミック・コックピット・テクノロジーを使ったデモンストレーションなどもWebサイトで公開している。

「ダイナミック・コックピット・テクノロジー」のデモ。Webサービスを読み込み、連携する

 Araxは「Asynchronous RPC and XML」の略。Ajaxと同様に非同期通信を使って、スムーズな画面操作を可能にする。XMLで定義した画面ファイル、ロジック、データを分離することでメンテナンス性を高めた。「同じようなロジックであればサーバサイドの環境は同じで、インターフェイスだけを複数用意することができる」(同社 技術部 アソシエイツ 岡村雅宏氏)。

 ダイナミック・コックピット・テクノロジーはサーバからXML形式の画面定義ファイルをダウンロードしてFlash 8形式のリッチクライアント・アプリケーションを自動生成する。必要なデータや計算ロジックは非同期でサーバから呼び出して、表示。Flashでアプリケーションを開発する際に必要なActionScriptは使用せず、開発が容易という。数字の右寄せや自動カンマ区切り、マスターデータの照会など帳票アプリケーションで利用できる機能を搭載している。帳票のイメージにフィールドを重ね合わせて帳票アプリケーションを作ることもできる。クライアントにはFlash Player 8が必要。

オープンソース・ジャパンの技術部 アソシエイツ 岡村雅宏氏

 バージョン2ではXML仕様の一部を公開し、ほかのWebサービスと連携できるようにした。OSJは地理情報のWebサービスである「GeOAP」と組み合わせたデモンストレーションを公開。GeOAPが配信する地理情報を読み込んで、Webアプリケーション内に地図を表示させたり、住所を取得できるようにした。帳票アプリケーションなどのデモも公開している。OSJでは今後もXML仕様を公開していく方針。

 ダイナミック・コックピット・テクノロジーは案件ごとにシステム・インテグレータに提供する。JavaScriptの非効率性やWebブラウザ依存、コードの中身がユーザーに見えるなどの「Ajaxのデメリット」(OSJ)を克服する技術としてダイナミック・コックピット・テクノロジーを提案する。

(@IT 垣内郁栄)

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オープンソース・ジャパン 「DynamicCockpit」

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