IDE事業を切り離した「ボーランド2.0」のはじまり

2006/7/13

米ボーランド ソフトウェア 社長兼最高経営責任者 トッド・ニールセン氏

 IDE(統合開発環境)事業を切り離した米ボーランドが新たな事業戦略を発表した。来日した米ボーランド ソフトウェア 社長兼最高経営責任者 トッド・ニールセン(Tod Neilsen)氏は「アプリケーション・ライフサイクル・マネジメント(ALM)に焦点を合わせ、さらにSoftware Delivery Optimization(SDO)に基づく新たな市場に進出していく」と話した。

 従来の主力事業だったIDE事業を展開するうえで同社が掲げていたのは、「開発者個人の生産性をいかに上げるか」というスローガンだった。開発支援ツールの開発・販売によって開発ツールベンダ市場の大手となった同社だが、オープンソースのIDEであるEclipseの登場で、ビジネスの方向性を見直さなければならない状況に追い込まれた。結果的に、同社はIDE事業をボーランド本体から切り離し、開発工程全般を管理する製品に焦点を絞ることになった。その先には、企業のビジネスプロセス最適化を支援する製品を開発・販売するという計画もある。

 このような戦略の第1弾製品群として同社は、IT管理とガバナンス機能を提供する「Borland Tempo 日本語版」と、要件定義支援ツール「Borland Caliber DefineIT 2006 日本語版」を7月に出荷すると発表した。

 「Borland Tempo 日本語版」は、企業の情報システムにかかわるさまざま情報を一元的に管理することを支援する製品。6つの主要機能(「デマンド管理」「ポートフォリオ管理」「プロジェクト管理」「リソース管理」「財務管理」「資産管理」)で構成されている。同製品の導入時には、「オーダーメード型のプロセス改善コンサルティングサービス」もついてくる。

 「Borland Caliber DefineIT 2006 日本語版」は、発注側と開発側の要求定義におけるコミュニケーションギャップを埋める製品。両当事者が要件を視覚的に把握し、定義、検証が行えると同社では説明する。紙芝居的な要件検証(ストーリーボード機能)など、発注側と開発側との合意形成を支援する。

 「Borland Caliber DefineIT 2006 日本語版」で定義した要件は、要件管理製品「Borland CaliberRM」で管理可能。また、「Borland Together」でUMLダイアグラムを生成したり、「Mercury Quality Center」でテストケースを生成するなど、ほかの製品と連携して使用することもできる。

(@IT 谷古宇浩司)

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