「ポータルの定義を変えたい」、IBMがWebSphere Portal V6.0発表
2006/7/13
日本IBMは7月12日、ポータル構築ソフトウェアの新製品「WebSphere Portal V6.0」(WP V6.0)を発表した。出荷開始は8月24日(ダウンロード版は7月26日)から。日本IBM ソフトウェア事業 Lotus事業部長 澤田千尋氏は「高付加価値ソリューションの中核製品として販売したい」との戦略を示した。
日本IBM ソフトウェア事業 Lotus事業部長 澤田千尋氏 |
日本IBMが3月に発表した2006年度のソフトウェア事業戦略の一部に「高付加価値ソリューションの普及促進」があり、ポータルは5つの高付加価値分野の1つに位置づけられる。
澤田氏は「WebSphere PortalはEIP(Enterprise Information Portal)市場のシェア1位を誇るが、欧米でEIP市場が爆発的な伸びを示しているのに対し、日本では市場自体がそこまで伸びていない。これは日本ではEIPがグループウェアの延長、つまり情報共有の基盤とされているため。欧米ではコールセンターのオペレータがCRMシステムとのやりとりに使うなど、実際の業務に使用する“トランザクションポータル”と見なされている。このような業務ソリューションはIBMが得意とするところであり、今後はこういった形で展開したい。市場を伸ばすとともにさらにシェアを拡大したい」と説明し、「ポータルの定義を変えたい」との意気込みを示した。
また昨年末のBowstreet買収について触れ、「WP V6.0の新機能として、Bowstreetのポートレット開発技術によって基幹システムとの連携が容易になったという点がある。SAPのコンテンツ、Notesのコンテンツ、基幹のRDBと簡単につなぐことができる」とし、実際の業務に対するソリューションとしての優位性を強調した。
「WP V6.0」の特徴は大きく3つ。1つ目は、バックエンドシステムとの統合の強化と開発効率の改善。バックエンドとの連携方式としてSOAPなどの業界標準を採用しているほか、ポートレットの標準規格「JSR168」をサポート。加えてBowstreetによるポートレット開発ツール「IBM WebSphere Portlet Factory」の同梱により、生産性が12倍向上したとしている。さらに複数のポートレットを含む複数のページをテンプレートとして保存し、類似ポータルに再利用する機能、画面を統合するだけではなく業務プロセス自体を連動させるための開発ツールが提供された。
2つ目はドラッグ・アンド・ドロップによるポートレットの追加・移動、Microsoft Officeと連携するなどWindows環境との統合、フライアウトメニュー(必要な時のみ表示させられるメニュー)の提供などによる利用者の操作性の改善。3つ目はポータルサイトからアクセス可能なページ数の増加、1つのポータル基盤で複数のポータルサイトが運営可能などのスケーラビリティの向上としている。
ライセンスは3種類ある。全社レベルで導入する顧客向けの「WebSphere Portal V6.0 Extend」(電子フォームプロセスやコラボレーション機能を含む、1CPU当たり1859万円から)、事業部規模で導入する顧客向けの「WebSphere Portal V6.0 Enable」(ドキュメント管理機能やWebコンテンツ管理機能を含む、1CPU当たり1358万5000円から)、初めて利用する顧客向けの「WebSphere Portal V6.0 Server」(基本機能のみ、20ユーザー当たり35万7500円、1CPU当たり715万円から)。
(@IT 長谷川玲奈)
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日本IBMの発表資料
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