放送業界に鍛えられた高可用性ソフトがバージョンアップ

2006/8/30

フライトシステムコンサルティング 代表取締役社長 片山圭一朗氏

 フライトシステムコンサルティングは8月29日、「FLIGHT Total Cluster Ver 2.0」を9月1日に提供開始すると発表した。

 FLIGHT Total Clusterは同社が開発したクラスタリング・ミドルウェアで、2001年から提供している。新バージョンの新機能としては、まず3台以上のノード構成への対応が挙げられる。これまで同製品は、2台のサーバによるアクティブ―アクティブあるいはアクティブ―スタンバイ構成において、1台のサーバがダウンしたときにこのサーバ上で稼働していたアプリケーションを他方のサーバが瞬時に引き継ぐ機能を提供していた。新バージョンでは3台以上のサーバ構成において、いずれかのサーバがダウンした場合、ほかのサーバがそのアプリケーションを代理稼働できるようになった。

 Ver 2.0ではストレージ切り替え機能も強化。サービスが提供していなくとも動き続けているアプリケーションがある状況でストレージを別サーバに切り替えるとデータ破損の可能性があるため、アプリケーションやサーバを強制的に停止させ、これを確認してからストレージを切り替えられるようになった。

 同製品には、従来より「フェールファーストパニック」と呼ばれる機能を実装している。これはサービスの停止したサーバがOSとしては生きており、共有ストレージを解放していない状態の際に強制リザーブというモードによって引き継ぐ側サーバが強制的にストレージを奪取するという機能。これによって、他社製品のように人の判断を待たない運用が実現されている。

 同社の代表取締役社長 片山圭一朗氏は、同製品がサン・マイクロシステムズのSolarisをベースとしており、さらに自社開発であることのメリットを強調する。

 片山氏は「Solaris 10(64ビット)では、CPUを増やすとリニアにパフォーマンスが向上する。また、特にTCP/IPスタックがチューニングされており、高負荷時のレスポンスに優れる」と指摘。さらに詳細なクラッシュダンプが入手できる点、カーネルパッチの適用や撤回が即座に行える点、高度なセキュリティ機能を備えている点などを挙げ、さらに3年間運用した場合の保守コストはLinuxよりも安いと話した。同ソフトの新バージョンではAMD Opteronに特化した64ビット版Solaris 10に対応した。

 同製品は同社が得意とする放送業界を中心に、すでに多数の導入実績があるという。FLIGHT Total Cluster Ver 2.0の価格は2ノードで198万円、追加ノード当たり85万円。初年度は50システムの売り上げを目標としている。

(@IT 三木泉)

[関連リンク]
フライトシステムコンサルティングの発表資料(PDF)

[関連記事]
自社開発の苦労を減らす商用クラスタ・ミドルウェア日本上陸 (@ITNews)
マイクロソフトHPC市場に参入、ローエンドを狙う (@ITNews)
F1鈴鹿グランプリ4位はHPのおかげ? (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)