F1鈴鹿グランプリ4位はHPのおかげ?
2005/10/12
10月9日に三重県鈴鹿サーキットにて開催されたF1日本グランプリでは、キミ・ライコネン選手が最終周で逆転勝利するという劇的な結果となった。世界最速を競うこのスポーツの裏では数百台のサーバやPCが稼働し、レースに大きく貢献している。今回は「BMW Williams F1 Team」(ウイリアムズ)をサポートしているヒューレット・パッカード(HP)のケースを紹介する。日本グランプリでは、ウイリアムズのマーク・ウェーバー選手が4位入賞を果たした。
HP F1担当テクノロジマネージャ セルジオ・フォッセル氏 |
具体的には、HP DL360やDL145などのサーバを約300台、クライアントPCも数十台を利用。ピット内では、19インチラック数台にサーバが収納されており、F1専用に開発された独自ソフトでギアチェンジや燃費などのデータを解析し、レースに反映している。システムを運用するうえでHPのエンジニアも参加し、運用・保守を担当しているという。「レースでは、サーバのダウンなどは絶対に許されないため、冗長化はもちろんのこと。エンジニアが常駐し、予備の部品まで用意して万が一の自体に備えている」(フォッセル氏)と説明した。さらに今年からは、データセンターにおいて同社のミラーリングシステム「HP OpenView Storage」も導入したという。このことからも、いかにレースでITシステムが重要であるかが分かる。
実際にマシンなどのレース関連部品は、すべてのチームの物をまとめて月曜日に空輸で次のレース会場に運ぶ。その後、各チームのピットに分かれて用意を始めるが、水曜日の午前中にはすべてのITシステムが使えるようにすることが求められるため、およそ半日でサーバやLANなどのインフラのセットアップをする必要があるという。ピットと本部は「主にADSL、最低でもISDN」(フォッセル氏)で結ばれ、データを転送している。
また、ITシステムはウイリアムズの新型シャーシ「FW27」の開発へも大きく貢献している。2004年から導入した「HP Cluster Platform 4000」では、モデリングに必要としていた時間を約3日間から半日にまで短縮。特に、CFD(コンピュータによる計算流体力学)における貢献度は高く、2004年と比較してシミュレーション能力を3倍に強化し、予算の削減や風洞実験における精度の向上などに貢献したという。
2005年のF1は、国際自動車連盟(FIA)によるレギュレーション変更によって、約30%のダウンフォースが削減された。しかし、各チームは新レギュレーション下で改良を加えた結果、2005年の新マシンでは前年と同様のダウンフォースを取り戻したという。これにはCFDによる開発時間の削減が大きく影響している。今後のF1では、スーパーコンピュータの性能が勝敗を分けるという日も近いかもしれない。
「BMW Williams F1 Team」のピット内の様子。手前にいるのは4位に入賞したマーク・ウェーバー選手 | ピット内でデータ分析を行っているところ。19インチラックに収められており、ラックごと移動できるようになっているようだ |
(@IT 大津心)
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ヒューレット・パッカード(HP)
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