EIを解き放て!〜テラデータパートナーイベント開催

2006/9/20

 米フロリダ州オーランドのホテルで9月18日(米国時間)、テラデータユーザーが運営するイベント「The Annual Teradata PARTNERS User Group Conference & Expo」(以下、PARTNERS 2006)が始まった。ユーザーが運営するイベントらしく、実際にテラデータのユーザー企業であるカナダのHudson's Bay Company(Hbc)のデータウェアハウス担当シニアマネジャーであり、PARTNERS 2006運営委員会会長でもあるメリージェーン・ジャービスヘイグ(Mary-Jane Jarvis-Haig)氏がホストとなってイベントは進行した。

■500店舗の在庫情報をリアルタイム管理し、マーケティングに活用

米NCR CEOのビル・ヌーティ氏

 2005年に引き続きオーランドで開催された「PARTNERS」には、世界45カ国から3500人の参加者が集まり、ユーザー企業70社による185セッションが9月21日まで開かれる。展示会場では、40社が展示ブースを設置し、さまざまな利用方法などを展示・紹介している。今年の表題は「unleashing ENTERPRISE INTELLIGENCE(エンタープライズインテリジェンスを解き放て)」で、「いかにEIを使いこなし、積極的に営業活動や製品開発に生かすか?」という点についての講演やセッションを実施する予定だ。

 Hbcは1670年創業のカナダの老舗百貨店で、500以上の店舗が存在し、カナダ国民の90%が利用しているという。同社では、何百万の商品と1100万人の顧客情報を持っているものの、「1100万人の顧客データを持っているなんて、よくうらやましいといわれるけれども、それはとんでもない。このデータを有効活用できなければ、大量のデータの管理コストは負担なだけだった」(ジャービスヘイグ氏)という。

 そのような悩みを受けて、同社ではデータマートをテラデータのデータウェアハウス(DWH)に移行。DWHに移行したことで、前日の店舗の在庫情報を調べて、売れていて在庫がなくなりそうな店には迅速な補給を、売れていない店にはマーケティングの再考を、といった「その店舗に何が必要なのか?」といった情報を取り入れることが可能になった。そして、「リアルタイムの在庫情報などは、いままで何がいけなかったのかや、これから何をしなければならないのか、といった前向きな経営思考の変化が起きるようになった」と語り、自社におけるDWHの成功事例を説明した。

■テラデータの売り上げは好調。顧客満足度も上がっている

 続いて登壇したのは、米NCR テラデータ・ディビジョン シニア・バイスプレジデント マイク・コーラー(Mike Koehler)氏。コーラー氏によるとテラデータ事業は好調で、2005年は売り上げは前年比9%増の1500億円だったという。

 また、顧客満足度も伸びていると指摘。2006年のアンケート調査で満点を取得した割合を見ると、「テラデータ データウェアハウス」の項目では74%のユーザーが満点であると回答。営業やコンサルタント部門に満足したユーザーは前年比10%増の67%、サポートが同5%増の67%、ビジネスパートナー制度は同14%増の72%だった。この点について、コーラー氏は「パートナーコミュニティから常に情報を収集し、顧客満足度を向上させるべく努力している結果だ」と強調した。

 次に同氏は、テラデータデータベース向けのツールやユーティティソフトを集めたスイート製品の最新版「Teradata Warehouse 8.2」や「Teradata Active System Management」などを今後順次リリースしていくと発表。そして、これらの新製品を用いることによって、「リアルタイムデータから、現在のトレンドを探るだけでなく、その情報を営業やマーケティングに使い、売り上げや利益を拡大させることができるようになる」(コーラー氏)とした。

 その具体例として、あるデジタルカメラメーカーのケースを紹介。そのデジカメメーカーは、過去の売り上げ動向を分析し、「どの季節にどのような製品がどの程度売れるか?」という情報を予測。その情報を基に、クリスマスシーズンなど売れ行きが伸びる時期には価格の割引交渉をしたり、過剰在庫を抑えたりした。また、在庫管理もリアルタイムで行うことで、在庫が少なくなってくるとアラートを出して自動的に供給したり、あまり売れていない店では供給を減らしたり、ストップしたりといった施策も取れるようになったという。

 これらの活動についてコーラー氏は、「この事例はEIを積極的に使って成功しているものだ。このように、EIを解き放つことで積極的な営業展開が可能になり、収益の拡大につながる」と語った。

■NCR自身が3年間で3.5億ドルの経費削減

 そして最後に現れたのは、2005年8月に就任した米NCR CEOのビル・ヌーティ(William Bill Nuti)氏。ヌーティ氏は、NCRの戦略やビジョンを語った。

 2005年の売り上げは全体で60億ドル。内訳はATMなどの「Financial Self-Service」が22%、レジスターなどの「Retail Store Automation」が14%、「Customer Services」が29%、「Systemedia」が8%、「Payment And Imaging」が3%、そして「Teradata Data Warehousing」が24%となり、約4分の1をテラデータが占めたという。

 ヌーティ氏は、NCR自身のDWHへの取り組みを紹介。同社は現在約100カ国でビジネスを展開しているが、DWH導入以前は国ごとによって異なる商習慣やデータをまとめるのに苦労した。そして、それに対応するために、複数の業務指令方法などが乱立してしまっていたという。そこで、DWH導入を決断したところ「データが世界各国から集められるようになった」(ヌーティ氏)。そこで、同社ではさらに各国にERPを導入し、人事やサプライチェーン情報などあらゆるデータをDWHに集結。これによって、3年間で約3.5億ドルの経費削減に成功したという。

 現在では、1日数回DWHに情報が入力され、1年間に700万個のインシデント数に達する。同社では、このインシデント内のメンテナンス情報やサービスを調べてサービスレベルを引き上げているほか、売り上げを分析して営業に生かしたり、顧客の声を分析して製品開発に生かしている。

 そして、ヌーティ氏は最も重要なこととして「ユーザー各社がどのようにDWHをしているのか、というノウハウを収集することで、一層DWHが有効活用できるうえに収益向上にもつながるはずだ。ぜひ、イベント会場や展示を見ていってノウハウを吸収していってほしい」と語り、講演を締めくくった。

(@IT 大津心)

[関連リンク]
日本NCR

[関連記事]
NCR、テラデータ事業好調を支えるため大連に開発センター設立 (@ITNews)
パートナー協業を加速、日本NCRがテラデータ事業で新戦略 (@ITNews)
今年はEDWとセルフレジの年、日本NCR (@ITNews)
パートナー販売に転換、営業開始100年を迎えるNCR (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)