オラクルは寛容? 他社製品にも対応した仮想ID統合製品

2006/10/18

 日本オラクルは10月17日、企業内に存在するさまざまなディレクトリを仮想的に統合して管理性などを向上できる「Oracle Virtual Directory」の提供を開始した。2006年1月に発表したID管理ソリューション「Oracle Identity and Access Management Suite」の1製品という位置付けとなる。

日本オラクル 常務執行役員 システム製品統括本部長 三澤智光氏
 Oracle Virtual Directoryは、すでに複数のディレクトリに分散しているユーザー情報を、仮想的に1つのユーザーディレクトリに統合できる製品。最大の特徴は、マイクロソフトのActive DirectoryやIBMのTivoli Directory Server、サン・マイクロシステムズのSun Java System Directory Serverなど「現在主に使われているほとんどのディレクトリサーバやデータベースに対応している点だ。当然当社の『Oracle Internet Directory』やOracleデータベースにも対応している」(日本オラクル システム製品統括本部 営業推進部 Fusion Middlewareグループ 担当ディレクター 北野晴人氏)と説明した。

 現在日本オラクルは、「Oracle Internet Directory」と「Oracle Virtual Directory」の2種類のディレクトリ製品を提供している。Oracle Internet Directoryは、実際のIDを持つディレクトリサーバでバックエンドにOracleデータベースを持つ高い可用性がポイントだ。一方のOracle Virtual Directoryは、企業内の各所に存在する複数のディレクトリやデータベースを同期・連携することによって、仮想的にIDやディレクトリを統合することを目的としている。Oracle Virtual Directory自身はキャッシュやIDデータを持たず、仮想的に統合することを中心に機能する。

 具体的には、複数存在するディレクトリサーバの情報を仮想的にまとめるほか、ユーザーからのリクエストを条件ごとに振り分けることが可能だ。また、同じ内容の物理サーバが複数ある場合にはロードバランサー的な役割を持たせることもできる。北野氏は、「Oracle Virtual Directoryを導入することで、ディレクトリサーバやデータベースへのアクセスポイントが1カ所に集約されるため、アクセスログの集約やシングルサインオン認証に非常に有効となる。アクセスログの集約は管理コストの低減だけでなく、間もなく施行される日本版SOX法にも非常に有効だ」と語った。

 日本オラクル 常務執行役員 システム製品統括本部長 三澤智光氏は、現在の日本版SOX法への対応状況について「2006年度は様子見の企業もあるが、2007年度は本格化するはずだ。米国SOX法で先行する米国ではID管理製品の導入は必須といわれている。日本も施行が迫ってくる2006年年末から2007年春にかけて導入する企業が増えるはずだ。日本オラクルはID管理製品でシェア1位を獲得したい」と分析し、日本版SOX法市場への抱負を語った。

(@IT 大津心)

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