SPSSユーザー会「SPSS Open House 2006」レポート
SPSSでブランドマップを作るレシピを教わろう
2006/10/24
エス・ピー・エス・エス(SPSS)は10月24日、同社のユーザー会である「SPSS Open House 2006」を東京・水道橋で開催した。基調講演では、関西学院大学 大学院 経営戦略研究科 教授 中西正雄氏が「ブランドマップの作り方〜戦略策定のツールとして」と題した講演を行った。
中西氏は、マーケティング戦略を「具体的なマーケティング活動を決定する前に必要な戦略的意思決定であり、マーケティング活動を行う前に必ずやるべきこと」と定義。潜在顧客をそのニーズや欲求の差に基づいていくつかのグループに分ける「セグメンテーション」、セグメンテーションの結果からライバルとなるセグメントを選ぶ「ターゲティング」、同じセグメントで競争する他ブランドのマーケティング活動を見据えて、自社のマーケティング活動をどうするか決める「ポジショニング」の3つに分けられる。
そして、このマーケティング戦略を助けるためのものが「ブランドマップ」だ。ブランドマップとは、競合する各ブランドを消費者がどのように知覚(選好)しているかを、それぞれの相対的位置を示すためのマップを指す。ブランドマップには、属性(主観的、客観的)データを用いるものや、類似度データを用いるもの、選好データを用いるもの、行動データ(選択、購買)を用いるものなど多様に存在する。このため、各企業はまず自社に現存するデータの有効活用を考え、そのうえでさらに必要なデータをそろえていけばよいという。
ブランドマップには知覚マップ、選好マップ、同時(結合)マップ、競争構造マップなどがあるが、知覚マップにはブランド属性データと類似度データが必要。選好マップには選好データが、競争構造マップには選択データと実売データが必要となる。例えば、シャンプーのブランドに対する知覚マップでは、「サラサラ」「女性らしい」「健康的」「爽快感がある」といった形容詞を使ってデータを収集して作成する。しかし、このようなマップ作成方法では、知覚や選好に個人差がある点や、使った形容詞が知覚空間をうまくとらえているかどうかも分からないといった欠点も存在する。
この問題点は、ブランド属性データとともに選好データを集めて「同時(結合)マップ」を作ることで解決するという。同時マップは、知覚マップに選好マップを組み合わせて作成するが、選好マップを作成するためには選好データが必要になる。逆に選好データがあれば、多次元展開(MDU:Multi-dimensional Unfolding)を用いた理想点型選好マップが作成できる。MDUはSPSSのPrefscalを用いて作ることが可能だ。そのほかにも、類似度データを用いて知覚マップを作成することができる。
中西氏は最後にSPSSを用いた3Dのブランドマップの利点について、「3D表示のブランドマップをグルグル回して見ることができる点が非常に有効だ。ちょっと角度を変えただけでも、競合ブランドとの関係に新たな発見があったりする。SPSSにはこの画面を全画面でできるようにしてくれるともっと嬉しいが……」とコメント。結論として、「属性データからマップを作って選好データを表示しても、その逆でも、あまり戦略的な示唆の差はない。私は後者のアプローチを推奨したい。選好マップはPrefscalで簡単に作れるのでぜひ試してほしい」と語り、講演を終了した。
関連記事
情報をお寄せください:
最新記事
|
|