Weekly Top 10
Dropboxに追加して欲しい機能
2007/04/17
先週の@IT NewsInsightのアクセスランキング1位は「HDD以上に便利なオンラインストレージ“Dropbox”」だった。今さらオンラインストレージサービスの話題か、と読み流されるのではないかと思ったのだが反響が大きかった。
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ユーザーとして欲しいと究極のファイルシステムは?
Dropboxは、ほかのWebサービスのストレージになりうるという意味でも興味深いが、何よりもエンドユーザーとして使ってみたいと思わせるサービスだ。
容量単価は当面ローカルのハードディスクより高価なままだろうが、容量の大きなマルチメディア系のファイルはローカルフォルダに、それ以外のデータはオンラインのフォルダにといった使い分けをしていけば対処できそうだ。
あるいは、Amazon S3のように冗長化され、地理的にも分散されたストレージだけではなく、例えば自宅のデスクトップPCのストレージも組み合わせて使えると便利だ。クライアントソフトウェアをPCにインストールすると、そのPCのストレージが、職場や出先のPCからオンラインストレージに見えるという機能だ。一般家庭でPCを24時間稼働させるのは、やや無理があるので、NASにDropboxの機能を組み込むべきかもしれない。Dropboxのサーバとしては、ストレージがAmazon S3でなくてもいいはずなので、ユーザーが用意するFTPサーバを統合できておかしくない。
いずれにしても、Dropboxは従来の意味でのオンラインストレージサービスというよりも、ストレージというものをネットワーク上で再定義するサービスだ。NFSやCIFSのように、既存のストレージをネットワークでマウント可能にするだけでなく、更新差分の保存やバックアップといった付加価値を付けている。
メタデータ管理やリンク機能も欲しい
では、ほかに追加すべき機能はないだろうか。“ローカルのOSにシームレスに統合”というコンセプトに反するかもしれないが、記者はこの際、階層フォルダという固定的な分類方法を捨ててはどうかと思う。ユーザーが付加したタグや、データの種類、サイズや作成日時といったメタデータに対して、検索クエリーを定義し、それを仮想フォルダとして扱えばいい。
メタデータによる管理のほかにも欲しい機能がある。それはファイル間のリンク機能だ。Webの世界でハイパーリンクの威力をこれほど見てきたはずなのに、なぜいまだにローカルのファイルは、互いにリンクされたり、リンクしたりしていないのかと思う。例えば経費精算のエクセルファイルは、どこかのフォルダにまとめて入れておくという管理ではなく、むしろほかの経費精算のファイルとリンクしていてほしい。もっといえば、フォルダの構成や個々のファイル名など、いちいち考えたくないので、物理的なファイル名は乱数にでもして、「仕事→書類→経費精算→前回の書類の複製→編集」という思考の流れでデータにアクセスしたり編集したりしたい。現在すでに階層フォルダで、そうした流れを表現しているが、データの量や種類が増えすぎたことで、もはや固定的な分類は限界に近づいている。どれほど整理上手の人でも、フォルダを掘り進んだり、逆に戻ったりしてファイルを探した経験があるのではないだろうか。「仕事→書類」でも「書類→仕事」でも同じ結果が得られるような柔軟さが必要だ。
こうした機能は、今さらOSのファイルシステムで実装するには既存システムやユーザーへの影響が大きすぎて難しいかもしれない。Windows Vistaに搭載されるはずだったWinFSが頓挫したのも、実装の困難さや、ユーザーの操作性の慣れに対する配慮などがあったという。しかし、オンラインストレージサービスであれば、まだまだ実験的な機能を追究できる可能性があるのではないだろうか。
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