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【Top10】iPhone 2.2にガッカリ、Androidに期待
2008/11/25
先週の@IT NewsInsightのアクセスランキングお第1位は「もう避けられない? 暗号の2010年問題」だった。電子署名や暗号化通信で用いられている暗号技術が、現在主流の鍵長では十分な強度を保てなくなる。より長いビット長の鍵への移行や、楕円暗号の採用など、そろそろ次期システムを考え始める時期が近付いているようだ。
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個人的な話で恐縮だが、週末はiPhoneのOSをアップデートした。今回、バージョン2.2での機能強化ポイントはいくつかあるが、期待していたのはPodcastの機能強化と絵文字対応だった。
iPhoneを買って最初に驚いたことは、Podcastの登録やコンテンツのダウンロードがPC上のiTunesでしかできないということだった。いったい何のための3GやWi-Fiなのかとガッカリした。それがiPhone 2.2ではiPhone単体でPodcastがダウンロードできるようになると聞いて期待していたのだ。
iPhone 2.2のPodcast機能強化では、2つの点で驚いた。1つは3GでもWi-Fiでもコンテンツがダウンロードできること。もう1つはiTunes Storeに登録されたチャンネルのみがダウンロード可能で、しかも「購読」ができないこと。
動画付きもあるPodcastはネットワーク負荷が高いので、iPhone単体でダウンロード可能になるといっても、たぶんWi-Fi対応だけになるだろうと思っていた。ところが意外なことに3Gでもコンテンツがダウンロードできる。これはうれしい。
しかし、iTunes Storeに登録されたPodcastチャンネルしか対象となっていないのは興ざめだ。ちょっと検索してみた感じでは、かなりマイナーなものでもiTunes Storeに登録されているようなので事実上問題はないのだが、どうにもアプローチが非インターネット的だ。PodcastはMP3やMPEG4と簡単なメタデータというシンプルな構成で配信が可能で、視聴は環境を問わない。たくさんのPodcastチャンネルを集めたディレクトリサイトはあってもいいが、単一の中央サーバのようなレポジトリは不要だし、ユーザーにとっては囲い込まれるいわれなどない。
iPhoneにおけるアプリケーション配信では、App Storeという単一のレポジトリと集金システムが成功の鍵だったかに見える。とうの昔からオープンプラットフォームだったはずのWindows Mobileが、3年がかりで配信アプリケーション数が300本と言っているのと対照的だ。
App Storeが成功し、グーグルがAndroidでも同様のことをしようとしているのと同じで、Podcastについても、きちんと配信プラットフォームを1本化したほうがより多くのコンテンツ制作者が集まり、結果として視聴者にもメリットになる可能性がある。だから、アップルがPodcastをiTunes Storeに限定することにはまったく意味がないとは思わないのだが、1個所にユーザーやコンテンツを囲い込むやり方には、やっぱり違和感を感じてしまう。
“購読”(subscribe)ができないのは致命的だ。購読とは、チャンネルを登録しておくことで自動的にコンテンツが配信され、蓄積していく視聴スタイルのことだ。実際にはクライアント側からの一定間隔のポーリングだが、ユーザーの感覚としてはプッシュ配信に近い。朝起きて、そのままプレーヤーを持ち出せばコンテンツが貯まっているというのがPodcastの魅力だったと理解している。
iPhone 2.2のPodcastでは購読ができないうえにチャンネルのブックマーク機能もないので、毎回「検索→配信コンテンツの確認→クリックでダウンロード」ということを明示的にやる必要がある。購読機能がないのでは、もはやPodcastとは呼べないのではないか。この辺は3Gネットワークでのダウンロードを許可したことと表裏の選択だったのではないかと思う。購読を可能にしてしまうと、ほとんどの人は「とりあえず」でたくさん購読登録し、とても聞ききれないような量のデータをダウンロードすることになってしまう可能性がある。帯域も容量も余裕があるPCなら良いが、iPhoneや3Gネットワークでそれは厳しい。
iPhone 2.2のもう1つの目玉は絵文字だった。これはソフトバンクモバイルのメールアドレスからの送信時のみ有効で、そのほかでは使えない。私はiPhone標準のメールソフトでIMAP4を使ってGmailのメールを読み書きしているが、やっぱり絵文字は使えない。送信先が絵文字対応のケータイであっても、絵文字は使えない。どうしてこういう“余計なお世話”の仕様になっているのか分からないが、やっぱりガッカリだ(そもそも論をすれば、日本のケータイキャリアは今に至るまで、なぜキャリア間でキャラクターの同定をしてUnicodeに絵文字を入れなかったのかと思う)。
iPhone 2.2の機能強化点は登場前からほぼすべてスクリーンショットとともに情報が流れていた。それで期待が高まったのだが、実際に使ってみて、いろいろ限定的だということが分かりガッカリした週末だった。
それで改めて思うのだが、どうして私は慈雨を待つ哀れな未開人のようにiPhoneの機能強化を祈ったり、逆に肩すかしを食らって落胆したりしないといけないのだろうか。おそらくアプリケーション間の文字列コピー&ペーストなど一部機能については、iPhoneユーザーは永遠に雨乞いのダンスをすることになるのだろう。
一定数以上の人々が雨乞いをすれば雨を降らせる神が現れるほうがいい。
そうしたプラットフォームとして、私はAndroidに対して期待している。例えば日本Androidの会マッシュアップWGリーダーでDalvikVM WGのリーダーでもあるadamrocker氏は11月18日、Android向けの日本語入力アプリケーション「simeji」(しめじ)を作成し、公開している。simejiは奥野陽氏が開発した「Social IME」を利用した日本語入力補助ツールで、すでにWebブラウザへの日本語文字列の入力が可能という。
simejiは変換エンジンとしてネットワークの向こうにあるソーシャルなサービスを利用している点でもおもしろいが、Androidにこうしたシステムレベルに近いアプリケーションが登場してくるという点に注目したい。iPhoneで、絵文字入力のオンオフすら自由にできないことや、いまだにアプリケーション間のコピー&ペーストができないこととは好対照だ。adamrocker氏のブログのコメント欄を見てほしい。香港や米国在住のT-Mobile G1ユーザーから感謝の言葉が書き込まれている。
アップルによる厳密なコントロールがあるからこそiPhoneという製品は離陸もできたし、市場形成にも成功しつつあるという見方は妥当かもしれない。しかし、個人ユーザーとしてはもうキャリアやベンダの過剰なコントロールにはウンザリ。私のようなユーザーが今後増えてくれば、ユーザーからの圧力で(といっても購買行為を通じての無言の圧力)、オープンプラットフォームはますますオープン化していくことになるのではないか、と期待半分に思ったりするのだ。
※初出時、「顔文字」と「絵文字」の両方の用語を使っていましたが「絵文字」に統一しました。顔文字はASCIIキャラクターを使った表現を指す場合が多く、絵文字や、その一部の顔アイコンを指す用語としては誤解を招く可能性があると判断したためです。
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