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@IT > 成長するLinuxビジネスでさらなる顧客の選択肢を提供する |
現状、世界市場におけるLinuxサーバの出荷台数は年率10%以上の増加を示しており、今後の伸び率においても他のOSを抑え1番となっている(下記グラフ参照)。いまやLinuxはニッチなOSの1つではなく、ごく一般的なもの、マジョリティの1つとなったといえる。2010年ごろにはWindows、UNIX、Linuxという3つのOSのシェアは拮抗するとの予測もあり、ハードウェアベンダーとしては、どれか1つのOSだけに特化するのではなく、3つすべてのOSを同等に扱える必要があるだろう。
「HPは、世界市場でx86サーバ上のLinuxのシェアで1位を獲得している。日本では現状は2位となっているが、3年前までは5位という位置にいたことを考えれば、大きな進歩がある。ここまでシェアを伸ばせたのはハードウェアからOS、ドライバ、そしてサポートサービスに至るまで、HPがすべてをワンストップで提供できるところがユーザーから評価された結果だと考えている」。HPのLinuxビジネスが好調な理由を説明するのは、エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 Open Source & Linux 推進部 推進マネージャの赤井誠氏だ。
Linuxビジネス全体が成長しているとはいえ、オープンソースソフトウェアを導入することに対し、ユーザーにはまだまだ抵抗感があるのも事実だ。抵抗感の理由として挙げられるのが、オープンソースソフトウェアの技術者不足とサポート体制への不安だ。これらを解決できなければ、本格的な企業での導入は足踏みすることになる。ハードウェア、OS、そしてサービスが別々に提供されていると、何か問題が発生した場合にどこに原因があるかを切り分けるだけでも大きな手間となる。すべてをワンストップで提供できることは、顧客の不安を解消することとなりLinuxの普及を後押しする。 「Linuxに関するサポートサービスでは、およそ99%の問い合わせについては、HPの中で解決できている。残りの1%程度の問題についてのみ、(Linuxディストリビュータの)レッドハット社やノベル社と一緒に解決しているのが現状だ。HPでは世界中で2500人以上の開発者がLinuxおよびオープンソース・プロジェクトに関わっており、さらに6500人以上のサービスエンジニアがLinuxシステムのサポートを行っている」(赤井氏) これら世界規模での開発技術者、サポート体制があるのがHPの強み。さらにサーバやストレージシステムへのオプションの組み込み、OSのインストール、サーバ本体のラックへの搭載、複雑なインテグレーションを、事前に日本にある製造拠点(東京都昭島市)で実施してから顧客に届けるインテグレーションサービス「HP Factory Express」も、Linux導入の敷居を下げているとのことだ。単に導入コストが低いということよりも、サポートの体制を含め、オープンソースソフトウェアであってもいかに安心に利用できるかが、顧客選定の際の1つの鍵となっているのだ。
数多くの技術者による充実したサポート体制を敷くことで、多くのLinuxサーバが企業に導入されるようになってきた。これまでは、Linuxに関するすべてをワンストップで提供できることが重要視されてきたが、今後はそれだけでうまくいくとは限らない。導入されるLinuxサーバが増えれば、それだけ管理運用にかかわる手間やリソースが新たに発生することになるからだ。 Linuxディストリビュータが提供している管理ツールは、単体のOSを管理するものはあっても、サーバやストレージといったハードウェアについては、管理を容易にする機能は提供していない。今後は、Linuxにおいても複数ハードウェアにまたがるインフラ部分の管理を、一元的に行える機能を持っていることが、ベンダーの強みになる。この管理の一元化、効率化については、HPはすでにWindowsやHP-UXなどで多くの実績がある。Linuxにこれらの管理ツールを応用することで、管理の効率化が可能となる。 また、HPでは自らも社内システムとして積極的にLinuxを利用することで、ノウハウの蓄積に努めているという。自分で利用したことのないものを顧客に勧めるわけではないのだ。例えばHPは、ワールドワイドで全社の社員アカウントの管理に、Linux上のOpen LDAPを利用している。自らが大規模なLinux、オープンソースソフトウェアのユーザーとなることで、その経験をも顧客のサービスに生かしているのだ。 さらに、コンサルティングサービスとして、Linux上の商用アプリケーションだけでなく、LAMP(Linux、Apache、MySQL、 PHP/Perl/Python)と呼ばれるようなオープンソースソフトウェアも適宜採用し、商用とオープンソースのハイブリッド構成の提案も、顧客の要望に合わせ柔軟に提供できるようにしている。価格的なメリットでLinuxの導入を促すだけでなく、ユーザーが導入後に適切かつ効率的にシステムを使えるサービスの体制が採れるかが、今後のLinuxシステムの稼働状況を左右することになる。
HPでは、Red Hat Enterprise Linuxと自社のハードウェアを組み合わせシステムを提供してきた。特にミッドレンジ規模でのHP ProLiantとの組み合わせで、多くの実績を持っている。とはいえ、Linuxは初期導入コストが低いために、エントリークラスでの採用が最も進んでいるのかといえば、そうではないという。 いまやエントリークラスのx86サーバは、3万円台から手に入るくらい価格が下がっている。一方、従来の商用Linux OSは、10万円前後からの価格というのが相場だ。場合によっては、OSの価格がサーバの3倍にもなってしまうのだ。こうなると、顧客はバランス的にLinuxを選択しにくい印象を持つのも事実だ。低価格のサーバに合った価格のLinux OSの提供があれば、よりLinuxの普及が進む可能性がある。 そこでHPは、エントリークラスのx86サーバでも導入しやすい価格となるSUSE Linux Enterprise Server 10の提供を2006年11月に開始した。価格は2万5000円(税込2万6250円)。対応するサーバは1プロセッサのサーバに限定されるが、HP ProLiant のエントリークラス製品と組み合わせれば、約6万5000円程度でシステムが手に入ることになる。 エントリークラスで、ここまで低価格なLinux OSの製品が提供されることの意味は大きい。というのも、このクラスでは、サーバより価格の高いOSを敬遠し、サポートの得られない無償のLinuxディストリビューションを選ぶユーザーも少なくない。ところが、ベンダーによる正式サポートが受けられないと、企業の内部ルールで利用を認められないケースも出てくる。リスクを抱えたままHWベンダーの動作認定しないLinuxディストリビューションを選ぶか、高い費用を払うかで悩んでいたところに、適切な価格で正式なサポートが受けられる、SUSE Linuxという選択肢が新たに増えたことになるのだ。 SUSE Linux Enterprise Serverは、世界で2番目にシェアの大きい商用Linux OSであり、ノベルという伝統のある企業が提供。ワールドワイドなサポート体制を持っており、これまた安心して利用することができる。サポートするソフトウェアの状況などにより、適宜これらを選択することになる。今回低価格で提供するSUSE Linux Enterprise Serverについて、赤井氏はその印象を次のように説明している。 「技術者的には、SUSEはメンテナンスがしやすいという人もいるようだ。もともと、ドイツ企業が提供していたということもあり、きめ細かくきれいに作り込んでいるという印象があるのかもしれない。特に、YaSTという管理ツールはよくできている。GUIベースでインストールからOSの管理までほとんどすべての管理作業を行えるのため、管理者にとって便利なツールとなっている」 エントリークラスの選択肢を新たに提供することで、Linux導入の敷居を下げる効果は大きい。ある程度のスキルや知識を持つユーザーにとって、さらに導入しやすい選択肢ができた言えるだろう。HPはSUSE Linux Enterprise Serverの販売開始に伴うキャンペーンページを開設した。製品価格も含めてユーザーにとって魅力的なソリューションを提案する。
HPでは「Customer Choice」を目標に掲げ、これまでの投資を無駄にせず顧客に最適な選択肢を提供することを目指している。Linuxシステムに関するすべてをワンストップで提供する体制を準備する一方で、ユーザーの予算や導入意図に合わせたリーズナブルな商材も準備する。顧客ニーズに合わせたさまざまな選択肢を準備することで、HPはますますLinuxサーバ市場を活気づかせる重要なハードウェアベンダーになりそうだ。
提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社 企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT編集部 掲載内容有効期限:2007年2月28日 |
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