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@IT > 教育研修も含めたトータルなサポート体制で仮想化の普及を推進する |
新しい技術や製品が普及するには、当然ながら、その技術と、製品が良いものでなければならない。そのうえで、それらを販売するチャネルが必要だ。製品が単純であれば、メーカーとチャネルの2つだけがあれば製品は普及するかもしれない。しかし、加えて製品のサポート体制や導入のためのコンサルティング、実際の製品を利用したシステム開発サービスなど、様々な要素が必要になる。普及させたい技術がソフトウェア製品であるならば、当然のことながら稼働するハードウェアの状況も重要な要素だ。 仮想環境を実現するVMwareの普及のため、日本ヒューレット・パッカード(HP)は上記の要素すべてを提供している。ワンストップでハードウェアから各種サービスに至るまでをトータルで提供できるということが、顧客に安心感を与え、HPのVMware導入の強化につながる。 加えて、製品の普及にもう1つ重要な要素がある。それは、教育の体制だ。仮に上記すべてがそろっていても、新しい製品を導入する顧客の理解が急激に進むわけではない。マーケティング活動だけでは、表面的な製品の良さは理解できても、実際に使いこなせるかどうかといった、導入のための評価にはなかなかつながらない。 また、HPが規模の大きなベンダーだとはいえ、すべての顧客に対しHPだけで十分なサービスを提供できるとは限らない。その場合には、HPとともにVMwareの普及に注力してくれるパートナーが必要であり、そのパートナーにもHPと同等のVMwareの製品知識やスキルを持ってもらう必要がある。 顧客自身やパートナーに新たな製品の知識や技術を身に付けてもらうには、教育研修のサービスが不可欠となる。もちろん、VMware社自身でも自社の製品の研修サービスは行っているが、HPではVMware社と協力し両社で新たな研修プログラムを開発、展開を開始した。開発したのは、VMware ESX Server 3 製品の概要/導入を中心にした1日コースだ。
「HPで研修をやることになったのは、VMwareの製品をハードウェアとともに販売を開始した際に、教育サービスもやりませんかとVMware社から声がかかったのがきっかけ。VMware社にはワールドワイドで実施されている4日間の認定コースがある。その段階では、日本ではまだVMwareに対する市場の理解が十分にある状況ではなかったので、最初から4日間のコースを展開するのは厳しいのではないかという疑問もあった。HPのマーケティング部隊、営業部隊とも連携し、まずはもう少し手軽に受講できるものがいいのではという結論に至った」 新たなコースを開発することになった経緯を説明するのは、HPのテクノロジーサービスビジネス開発統括本部教育サービス部の土志田則義氏だ。4日間のコースは価格的にも30万円程度になり、VMwareの導入を決める前の検討段階の顧客や、まだVMwareそのものに疑問をもっている技術者にとっては敷居が高い。検討中という顧客に参加してもらうためには、1日という短い時間でVMwareの良さを分かってもらえるコースが必要だったのだ。 「1日の研修コースでは、座学で概要を解説しておしまいというのが普通だ。しかしながら、今回の1日コースでは、午前中が講義で午後は実機を使った演習となっている。この実機を使った演習がないと意味がない。VMwareの良さは、使ってみないとわからない。場合によっては欠点も見つかるかもしれないが、とにかく実機に触ることは重要であり実習は譲れないものだと考えた」
書籍やWebサイトからの情報では、理解に限界がある。実際に触ってみることで「こういうものなのだ」という理解のきっかけがつかめるはずだという。1日研修ですべてを理解するのは難しいが、実習ではVMwareのインストール、設定、そして仮想マシンを作成し、そのクローンを作るところまでを実施し、研修生自らが仮想化環境を構築する一連の流れを体験できる内容となっている。実習に用いるのは、VMwareのWorkstation版ではなく、エンタープライズ向けのESX Server。現状、VMwareを知っている技術者もコンシューマレベルでの使い方が多い。そのため、研修コースでESX Serverに実際に触れられるメリットは大きい。 エンタープライズ環境で実際利用される複数サーバ構成やその際に活用するVMotionの機能については、さすがに1日コースの中では体験できない。これらについては、講師の環境でデモンストレーションを行い解説される。この技術に興味を持ったならば、4日間コースにステップアップすることになる。実際、実習でESX Serverについて一通り体験した研修生からは、研修終了後、VMotionなどの高度な仮想環境の利用方法についての質問が数多く出ているようだ。 今回の凝縮された1日コースは、現状HPだけが提供している。とはいえ、このコースはVMware社の認定研修コースなのだ。実習には1人1台のHP ProLiantサーバを用い、もちろんVCI(VMware Certified Instructor)認定講師が担当する。研修参加の前提条件としては、Windowsに関する基礎的な知識を持っていれば演習でつまずくことはないとのことだ。
土志田氏が実機の演習にこだわるのは、自身の体験からだ。VMwareの研修コースに関わる以前、同僚の研修トレーナーがVMware Workstationを利用していたのを、土志田氏は横で見ていた。そのころは、仮想化やエミュレータなどはパフォーマンスが悪いのではないか、仮想環境がトラブルを起こせば、その上の環境もすべて影響を受けてしまうであろうなど、仮想化技術をほとんど信用していなかったという。
ところが、VMwareの研修を担当することになり、実際にESX Serverを利用した際に強いショックを受けた。VMkernelは安定しているし、仮想化環境では特殊なデバイスも使われていないのでむしろトラブルは少ない。特定のハードウェアに縛られることなく、仮想マシンは容易に移動もでき扱いやすい。なぜ今まで使わなかったのかとひどく後悔した。土志田氏はこの自らの経験があったからこそ、1日コースでも実際に使ってみることが重要だと考えたのだ。 「データセンターを管理しているような立場の方には、研修に限らず、評価版を借りてでもESX Serverを手に入れて試験的導入をし、徹底的に評価、検証してもらいたい。そうすれば、仮想環境の良さを実感できるだろうし、これなら10台、20台の部門サーバなどを仮想環境で効率的に管理できそうだ、といったアイデアがきっと浮かんでくるはずだ」(土志田氏) マルチコア化が進み、ハードウェアのリソースを有効に活用するためには、仮想化は今後欠かせなくなる技術だ。従来は、システムを導入する際にハードウェアとOSを一緒に導入することを考えてきた。これからは、ハードウェアとOSの間の仮想化レイヤも、きちんと定義して考える必要がある。その際、きちんと頭を切り換えるためにも、仮想化環境というものを1度は使って評価しておくことは重要なのだ。
仮想化はここ最近話題にはなっているとはいえ、技術的な細かい部分までもが知られているわけではない。仮想化の世界では一般的な用語でも、ITに携わっているからといってなじみ深いとは限らない。 「研修サービスを実施している立場としては当たり前のことだが、なるべく専門用語を使わずに分かりやすい表現になるように心がけている」(土志田氏) 今回の研修サービスは、VMware社が提供するコースを、いったんHPが受け止め、噛み砕き、初心者にも分かりやすい1日コースを提供している。そのため、専門的なVMwareの技術情報に加え、HPの技術や経験もこの1日コースには反映されていることになる。4日間の認定コースを短縮したものではなく、むしろ1日のコースとして最適な内容が新たに作られたと考えていいだろう。 仮想化に関する研修の受講状況は、世界を見ても大きく伸びている。市場で仮想化に対する関心が高まっていることが伺える。とはいえ、日本では、欧米のレベルにはまだ達していないとか。もともと、x86サーバの出荷台数で日本は大きな市場を持っている。今後その上で動く仮想化の教育研修も大きく伸びてくるのではないだろうか。実際、2006年の2月から月2回のペースで開催しているHPの研修コースも、毎回ほぼ満席の状態であり「増やしてほしい」との要望も出ているとのことだ。 ハードウェア、コンサルティング、サポートサービスに加え、研修サービスまでも提供できる真のトータルサポートが、HPがVMwareを扱ううえでの大きな強みだ。VMwareの仮想化環境の検討をしている人、むしろ仮想化の技術に疑問を持っている人は、この際HPの研修に参加してみて、実機による演習でVMwareの良さを実感してみてはいかがだろうか。
提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社 企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT編集部 掲載内容有効期限:2007年2月28日 |
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