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@IT[FYI] 企画:アットマーク・アイティ 営業企画局
制作:アットマーク・アイティ 編集局
掲載内容有効期限2004年12月31日

 

Linuxの真実、Windowsの真実(1)
ワークロード1: ファイル/プリント・サーバ

第1回
ファイル/プリント・サーバの基本機能比較


基本機能は同等なるも、Linux移行時に乗り越えなければならいハードルは高い

 

 Windows Server 2003は標準でファイル/プリントサービスの機能を持っているが、LinuxはSamba(最新版は3.0.7)というサーバ・アプリケーションによって、Windows互換のファイル/プリントサービス機能を提供する。ただしSambaはほとんどのディストリビューション・パッケージに含まれており、多くの場合、Linuxインストール時に標準でSambaもインストールされる。

 これから3回にわたって、Windows Server 2003とLinux+Samba(および関連するソフトウェア)について、さまざまな面から比較検討していく。この際には、サーバの移行や新規導入を検討しているシステム管理者が直面するであろう問題をできるだけフォローしていくつもりである。

    Sambaの日本語対応問題

 「日本語への対応状況」という言葉は、Windows OSやWindows対応アプリケーションでは、すでに聞かなくなって久しい。日本語版Windowsであれば日本語に完全対応していて当たり前のことだからである。しかし、Linuxの世界では、まだまだ日本語への対応状況を意識する必要がある。

 バージョン2.2までのSambaは、標準では日本語に対応していない。つまり日本語のファイル名やユーザー名をサポートしていないのである。そこで通常は、多言語対応のためのパッチを適用した「Samba国際化版」を使うのが一般的である。日本で提供されているディストリビューション・パッケージの多くは、このSamba国際化版を収録しているが、ディストリビューションの選択を誤ると、自分でパッチを収集して適用しなければならないなど、余計な作業を増やすことになってしまう。Samba 3.0では、文字コードの変換を自分自身で行わず、標準Cライブラリなどに含まれるiconv( )関数を使うようになった。そのため、iconv()関数が日本語の文字コードを適切に処理できればSambaで日本語のファイル名などを扱うことが可能になる。Samba 3.0を採用したディストリビューションを利用する場合は、Sambaが使用するiconv( )関数がマイクロソフトの日本語文字コードをサポートしているかどうかを確認する必要がある。

 こうした点をクリアできるなら、Linux+SambaをWindowsクライアント向けのファイル/プリント・サーバとして利用できる。ただしこの場合でも、実現できる機能は、単純なWindows NT 4.0レベルのファイル/プリント・サーバでしかない。Linux+Sambaでは、Windowsが提供する最新機能の多くは使えないし、実際の管理・運用面でも煩わしい部分が多々ある(運用管理については第3回で詳しく述べる予定だ)。今回は、このうち機能面に注目してみる。

    Windows Serverの便利な新機能

 Windows NT 4.0から、Windows Server 2003に移行すると、さまざまな新機能が利用できるようになる。ここでは、そうした新機能の中から便利なものをいくつか紹介しておく(一部Windows 2000 Serverから採用されている機能も含む)。

■ 共有フォルダーのシャドウ コピー(SCSF)
 共有フォルダ上の変更があったファイルについて、以前のバージョンを保持する機能。クライアント・ユーザーが、うっかりしてファイルを上書きしてしまった場合でも、マウスの右クリックだけで以前のバージョンのファイルにアクセスすることができる。これにより、ファイルの復旧に、いちいち管理者が呼び出されることもなくなる。

■ ボリューム シャドウコピー サービス(VSS)
 上述の共有フォルダーのシャドウ コピーの機能はOSに実装されたインフラサービスであるボリューム シャドウコピー サービスにより実現されている。このサービスはOS付属の機能であるNtbackup.exeなどでも利用されている。ディスクへのデータアクセスを行うアプリケーション・サービスとバックアップ機能の間で連携をとり、サービスを停止することなく、データのバックアップをとることができる機能である。VSSに対応したバックアップアプリケーションを利用することにより、平日の日中など、クライアント・ユーザーが利用している最中でも気兼ねなくバックアップ作業が行え、夜間残業や休日出勤を減らすことができる。

    Linux+Sambaで同様の機能を実現する

 共有フォルダーのシャドウ コピーの機能は、ボリューム シャドウ コピー サービスが一定の間隔で(システム管理者が設定)データの「スナップショット」を作成することにより実現されている。スナップショットとは、ある瞬間のファイルシステムのイメージを保持しておき、その後、ファイルシステムの内容が更新されても、スナップショット作成時点のファイルシステムに読み取り専用でアクセスできる仕組みのことである。

  Linuxでは、ジャーナリング・ファイルシステムのXFS、論理ボリューム・マネージャのLVMという2つのシステム・ソフトウェアを組み合わせることで、これとほぼ同等のスナップショットを作成することができる。またDFS(分散ファイルシステム)と同様の機能はLVMで実現可能だ。

 共有フォルダーのシャドウ コピーに相当する機能を実現するには、上記に加え、スナップショットを定期的に作成するためにcronというプログラムの自動実行サーバを利用する必要がある。

 参考までに、Linuxで共有フォルダーのシャドウコピーを実現するための手順を紹介すると、次のようになる。

  1. ハードディスクのパーティションタイプを"LVM"に変更
  2. LVM関連ツール群(lvm2)をインストール
  3. 物理ボリューム、ボリュームグループ、論理ボリュームを作成
  4. XFS構築ツール群(xfsprogs)をインストール
  5. 論理ボリュームをXFSで初期化
  6. Sambaの設定ファイルsmb.confにvfsの記述を追加
  7. cronにスナップショットを定期的に作成するスクリプトを作成して登録
  8. cronに不要になったスナップショットを定期的に削除するスクリプトを作成して登録

 この一連の作業を正確に実行し、サービスを稼働するには、Linux OSや関連するソフトウェアに対して、深い技術的な知識と多様なスキルが必要である。UNIXの利用経験が長いとか、個人的にLinuxに触れて精通しているなど、何らかの予備知識がある場合はよいとして、そうでない場合は高いハードルになる。そしてこのハードルを乗り越えるために、多大な学習コストが必要になる。

Windows Server 2003とLinux+Sambaでは、同様の機能を実現するために必要となるソフトウェアや、システム管理者に要求されるスキルには大きな差がある。ソフトウェアの開発をそれぞれのコミュニティに依存するLinuxでは、複数のソフトウェアを組み合わせることになるためシステムが複雑になりやすい。



<バックナンバー>
◆ インデックスページ 「Linuxの真実、Windowsの真実
◆ プロローグ 「LinuxとWindows。その本当のコストとリスクを評価するために
◆ 第1回 「ファイル/プリント・サーバの基本機能比較
◆ 第2回 「ネットワーク管理に不可欠なディレクトリ・サービス
◆ 第3回 「Linuxの本当のTCOを考える
◆ 第4回 「LinuxはWindowsより安全か?
◆ 第5回 「Office互換ソフトの実力とリスク
◆ 第6回 「Webサーバ・プラットフォームとしてのLinuxとWindows
◆ 第7回 「大規模Webホスティング・サービスでシェアを広げるWindows+IIS
◆ 第8回 「Webアプリ開発プラットフォームとしてのLinux+フリーJavaとWindows+.NET
◆ 第9回 「可用性、スケーラビリティを備えたシステム開発
◆ 第10回 「座談会:システム・インテグレータから見たLinuxとWindows(前編)
◆ 第11回 「座談会:システム・インテグレータから見たLinuxとWindows(後編)
 


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Windows Server Systemのホームページ

Windows Server 2003のホームページ

Windows Server 2003テクノロジ(ファイル サービスと印刷サービス)

Microsoft TechNetのホームページ

TechNet:Windows 2000 Server

TechNet:Windows Server 2003



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