[コラム]
Linuxの基礎知識
■Linuxとは?
Linux(リナックス)は、フィンランドのヘルシンキ大学の学生だったリーナス・トーバルズ氏(Linus B. Torvalds)によって開発され、1991年に一般公開されたUNIXクローンのOSである。Linuxは、ソース・コードを含めてすべてインターネットでフリー・ソフトウェアとして公開され、当初はボランティア・ベースのみで付属ツール開発や多言語対応などが行われた。
インターネット上のWebサーバやメール・サーバなどとして十分実用に耐えることが分かると、Linuxをベースとするシステム・インテグレーションや、Linux対応のアプリケーション開発などが活発化した。
■Linuxは無料なのか?
LinuxはGNU GPL(GNU General Public License)と呼ばれるライセンスに基づいて無料で配布されている。これはLinuxを特徴付ける大きなポイントなので、マスコミなどで取り上げられる場合も「Linuxは無償OS」として紹介されることが多い。
しかし本来のLinuxとして提供されるのは、OSのカーネルのみで、シェルやツールなどの付属ソフトウェアは、ほかのソフトウェアを組み合わせる必要がある。1つのコンピュータ・システムとして使うには、カーネルだけでは何もできないので、GNUソフトウェアなど、ほかのソフトウェアと組み合わせる必要がある。さらに日本語環境では、追加の日本語フォントや、「かな漢字変換ソフト」も必要になる。このため、Linuxカーネルと、標準的な追加ソフトウェアをパッケージ化したものが配布されるようになった。これがLinuxディストリビューション・パッケージだ。ディストリビューション・パッケージは、世界に数百種類以上あるといわれており、その多くが無償で配布されている。Linuxが実用性を増すとともに、営利目的でディストリビューション・パッケージを販売する企業が誕生した。これがいわゆる商用Linuxディストリビュータである。
商用ディストリビュータは、Linuxディストリビューション・パッケージの一部として商用ソフトウェアなどを提供するだけでなく、各種サポート・メニューを用意して、インストール時やトラブル発生時にユーザーが「サポートを受ける権利」を提供している。
このように、きれいな日本語フォントや、かな漢字変換ソフトのような商用ソフトウェアが不要で、かつサポートは一切あてにすることなくインストールやセットアップ、運用が可能な技術とノウハウがあるというのでなければ、Linuxであっても有償のディストリビューション・パッケージを購入しなければならない。
■Linuxはみな同じか?
Linuxと一口にいっても、日本で販売されている主要な製品だけでも、Red Hat Enterprise Linux、Vine Linux、SUSE
Linux、Turbolinux、MIRACLE Linuxなど、多数の種類がある。これらはいずれもLinuxの異なるディストリビューション・パッケージである。
前述したとおり、厳密にいえば、LinuxはOSのカーネル(核)の部分だけを指す。このため各ディストリビューション・パッケージの供給元は、Linuxをベースに、シェルやインストーラ、アプリケーション・ソフトなどを、独自にパッケージ化して販売している。パッケージの内容が異なれば、当然それは機能差や使い勝手の差となって表れてくる。
ディストリビューション・パッケージの差が最も顕著に表れるのが、システム管理ツールである。例えばRed Hat LinuxとSUSE
Linux、Vine Linuxでは、まったく異なるシステム管理ツールがパッケージングされている。どれが使いやすいかは一概にいえないが、どのディストリビューション・パッケージを選択するかで、管理の手順や、管理にかかる工数がかなり変わってくるはずだ。このためユーザーは、各ディストリビューション・パッケージの違いを正しく認識し、適切なパッケージを選択する必要がある。
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