上述したパフォーマンス向上には、東京海上日動システムズが進めた"シンプル化"の取り組みも大きく寄与している。
同社では、データベース統合プロジェクトの推進に当たり、アプリケーションの仕分けとシステムのスリム化という“シンプル化”のアプローチを採用した。このうち、アプリケーション仕分けのプロセスは、「利用頻度の少ないアプリケーションを廃止」し、次に「データエントリ主体のアプリケーションを他システムに移行」させる。そして「データ提供だけが目的のアプリケーションは、データダウンロード専用のシステムに吸収させる」といったものになる。
これにより、Oracle Exadataへの移行対象となるアプリケーションは40程度にまで絞り込まれたという。また、仕分けと併せて、アプリケーションとデータベースを分離。Oracle Exadataを純粋に「SQLクエリを受け付け、高速に結果を返すためのマシン」として使い、将来的なデータベースサーバーの変更にも柔軟に対応可能な設計を採用している。
さらに、東京海上日動システムズは、各アプリケーション担当部門に提供するデータベースサービスの標準化とメニュー化も行っている。これはデータの保全性レベルとオンラインピークレベルに準じて、「必要に応じてバックアップを取る」「デイリー単位でバックアップを取る」「障害発生直前までデータが戻せる」という3タイプのデータベースサービスを提供するというものだ。
これにより、データベース利用に関する各部門からの個別/特別な要求を抑え、基盤運用サイドの負担を軽減できたという。
また、高い性能を備えるOracle Exadataを導入したことでデータベースのチューニングが不要となり、これまでその作業に割いていたITスタッフの労力を、システムのシンプル化作業(例えば、データベースからアプリケーションプログラムを取り除くといった作業)に振り向けることが可能になった。そうしたことが、システム全体のパフォーマンスやメンテナンス性の向上、さらには運用コストの低減につながったと永易氏は説明し、次のように語った。
「システムのパフォーマンス向上がエンドユーザーから評価されるのは最初だけです。ユーザーはすぐに新システムのパフォーマンスに慣れ、やがてはそれが当たり前になります。そのため、ITサイドはシステムのパフォーマンス維持/向上に気を配るとともに、開発/メンテナンスの効率性をいかにして高め、IT部門の人的リソースをどのようにして有効活用するかを考え抜かなければならないのです」
データベース統合プロジェクトの対象範囲は、ビジネスインテリジェンス(BI)系システムにも及んだ。データマートシステムのデータはBIでも利用されてきたが、そこで使われていたBIツールは全てユーザー部門主導で選定/導入されたものであった。利用されるBIツールやデータの扱い方に関しても、統一性や一貫性は確保されていなかった。そのことが、システムコストを不要に押し上げ、システムパフォーマンスの劣化を招いていたのである。
もちろん、BI系のデータベースサーバーを単純にOracle Exadataに切り替えるだけでも、短期的には十分な性能向上が見込める。「しかし、それでは問題の先送りとなるだけで抜本的な改革にはつながらない」──そう考えた永易氏らは、アプリケーション担当部門を巻き込みながら、BIに関するエンドユーザーへのヒアリングを実施し、BIツールやデータの利用実態を調べ上げた。その結果、BIツールは確かに重要な業務で利用されているものの、大半は単なるデータダウンローダーとして使われ、データの加工はもっぱら表計算ソフトで、しかも長時間かけて行われていることを突き止める。加えて、データへのアクセスログを解析したところ、BIツールを通じて作成されたリポートの実に70%余りが、過去1年間まったく使われていないことも判明したのである。
この結果を受け、永易氏らはBIツールのデータについてもOracle Exadata上で統廃合することを決める。また、分析業務/リポーティングなど用途別にシステム基盤を整理して運用コストの削減を図るという方向性も打ち出した。
「BI改革の取り組みを通じてあらためて実感したことは、BIについても、全てをエンドユーザー任せにしていては危険だということです。ITサイドが現場の業務プロセスを理解し、的確な提案を行っていくことが必須であり、私たちはそのための取り組みを進展させたのです」(永易氏)
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2014年10月28日
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