加えて、オラクルはビッグデータの蓄積から変換までを効率的に行うためのビッグデータ活用Hadoop基盤として、前出のOracle Big Data Applianceを提供している。
「Oracle Big Data Applianceの目的は、ビッグデータ活用に必要なシステム基盤をスピーディに導入し、ビッグデータの蓄積、データ変換処理、そしてビッグデータ分析を高速に行うことにあります。必要な全てのソフトウエアを搭載しているだけでなく、ソフトウエアとハードウエアが最適に構成された状態でお客さまに届けられます。そのため、お客さまご自身でHadoopなど各種ソフトウエアと汎用サーバーを組み合わせてシステムを構築するDIY(Do It Yourself)方式よりも、早く、安価に、なおかつ低リスクでビッグデータ活用基盤を手に入れられるのです」(テュークスベリー氏)
このテュークスベリー氏の言葉を裏付けるのが、オラクルが第三者機関とともに行った調査の結果だ(注1)。それによれば、Oracle Big Data Applianceはユーザー自身でビッグデータ分析基盤を構築するよりもコストを約30%削減し、Time to Value(導入し、実際に価値が生み出されるまでの時間)も約21%短縮するという(注1)。
注1)第三者機関とともに行った調査の結果 米エンタープライズストラテジーグループ調査資料「Getting Real About Big Data: Build Versus Buy」(PDF)より。
Oracle Big Data Applianceがそれらを可能にする理由は、前述したようにビッグデータ活用で必要となる各種ソフトウエアが、過去のベストプラクティスに基づき事前に最適なかたちで構成されているからだ。具体的には、世界中の企業で利用されているHadoopディストリビューション「Cloudera Enterprise Data Hub Edition」の他、オラクルのNoSQLデータベース「Oracle NoSQL Database」、統計解析ツール「Oracle R Distribution」などが組み込まれている。これらのソフトウエアを全てユーザーが自ら導入し、最適な性能が得られるよう構成するのは容易ではなく、また相応のコストと期間がかかる。そのことを踏まえれば、先の調査結果にも合点がいくだろう。
必要に応じてシステムを柔軟に拡張可能なことも、Oracle Big Data Applianceの重要な特徴だ。最小構成は6ノードのHadoopクラスターであり、そこから6ノードずつ拡張することができる。高速な通信機構であるInfiniBandにより、Oracle Exadataなど外部システムとの接続や、Hadoopを使う際にボトルネックとなりがちな内部ノード間のデータ連携を高速化している。「あたかもレゴブロックをつなぎ合わせるようにして、柔軟にシステムを拡張していける」(テュークスベリー氏)のである。
なお、Oracle Big Data Applianceは先ごろ、最新版のOracle Big Data Appliance X5-2がリリースされた。新版は、より高速なプロセッサーが搭載され、コア数やメモリ容量が増強されているのにもかかわらず、前バージョン(X4-2)と同じ価格で提供される。特にパフォーマンスが重要な鍵を握るビッグデータ活用において、最新Hadoop技術の利用という面でこのバージョンアップの意義は大きい。
また、Oracle Big Data Appliance上のHadoopやNoSQL、Oracle Exadata上のOracle Database環境に効率的かつスピーディにデータを投入するためのソリューションとして、「Oracle Golden Gate」や「Oracle Data Integrator」「Oracle Big Data Connectors」といったデータ連携/変換ツールも提供している。
「これらのデータ連携/変換ツールを使えば、シームレスなかたちでデータをHadoop環境に投入したり、HadoopやNoSQLからOracle Databaseにデータを移動したりといったことが高速かつ容易に行えるようになります」(テュークスベリー氏)
ビッグデータの活用で中心となるのは、「多種多様なデータの中から有望なデータを抽出し、分析しやすいかたちに変換したうえでデータ分析基盤に読み込み、データ分析を行う」といった一連の作業である。なかでも重要なのはデータ分析作業であり、本来ならここに多くの時間を費やしたいところだ。しかし、ある調査によれば、現実には多くの企業で有望なデータの事前抽出や変換、読み込みといったETL(Extract/Transform/Load)作業にデータサイエンティストの作業時間の8割がとられており、実際の分析作業に使える時間は全体の2割程度に過ぎないという。この問題の解決に向けてオラクルが新たに提供を開始したのが「Oracle Big Data Discovery」だ。
「誰もが使いやすいユーザーインターフェースを備えたOracle Big Data Discoveryにより、高度なスキルを持ったデータサイエンティストではなくても、Hadoop上の多種多様なデータから有望なデータの抽出や変換が行えるようになります。その結果、データ分析の事前処理に使う時間と分析作業にかける時間の配分をこれまでと逆転し、データからビジネス価値を引き出す分析作業に多くの時間を割けるようになるのです」(テュークスベリー氏)
以上のように、オラクルは企業のビッグデータ活用を包括的に支援する多彩なソリューションを提供している。テュークスベリー氏は、「オラクルのビッグデータソリューションはあらゆる業界で活用できるものであり、マーケティングやサービス開発など、さまざまな業務領域で効果を発揮します」と述べ、小売業における活用イメージを紹介した。
「小売業では、ビッグデータ分析の結果を利用して顧客にリアルタイムにオファーを出したいという強い要望があります。それを実現するためには、まずデータモデルを構築し、構造化データと非構造化データをモデリングします。そして、それぞれのデータをOracle DatabaseやHadoop、NoSQLに取り込んで分析を行い、必要なアクションを起こしていくことになります。
例えば、私がショッピングモールの中を歩いているとしましょう。小売業者は、スマートフォンから得た情報で私がどこにいるのかを把握し、過去の購買履歴や他の顧客の購買履歴を基に、ショッピングモール内にある私が好きなブランドショップのバーゲン情報を通知するといったことが行えます。より多くのデータを使い、より高度な分析が行えるオラクルのソリューションなら、このようなことを短期間で実現できるのです」(テュークスベリー氏)
こうしたビッグデータ活用を実現するうえでは、クラウドの利用も不可欠となるだろう。そこでオラクルは、これらのビッグデータソリューションをクラウドでも提供していく予定だ。今後、企業は要件やコストに応じて、オラクルのビッグデータソリューションをオンプレミスとクラウドで柔軟に使い分けていくことが可能となるのだ。
今日、ビッグデータ活用をうたい、各社からさまざまなソリューションが提供されている。そうした中、既存のシステム環境との親和性や導入スピードとコスト、そして使いやすさにまで配慮したうえで、これほど多彩なラインアップを取り揃えている点は、データ活用の領域で長年にわたりイノベーションを牽引してきたオラクルならではと言えよう。「ビッグデータ活用の命を受けたものの、必要なシステム基盤をどう準備したらよいのかわからない」「自前でHadoop基盤を構築/運用していくのはハードルが高い」「既存のOracle Database環境と組み合わせて使いたい」「もっと早く、ビッグデータをビジネス価値に変えたい」「クラウドでの利用も視野に入れてビッグデータ活用基盤を整えたい」といった企業は、ぜひ一度オラクルのビッグデータソリューションをお試しいただきたい。
2015年4月9日〜10日の2日間にわたり、オラクルのクラウド・ソリューションを一挙に紹介するイベント「Oracle CloudWorld Tokyo 2015」が下記要領で開催されます。本記事で紹介したビッグデータソリューションをテーマにしてセッションも予定されておりますので、ぜひ足をお運びください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年4月17日
驚異的なパフォーマンス、優れた運用効率、最高の可用性とセキュリティ、クラウド対応を実現するOracle Exadataとの統合、クラウド、可用性や運用管理など、次世代データベース基盤構築のために参考になる必見資料をまとめてご紹介いたします。