全日本空輸は先頃、増加が続くインバウンド需要への対応強化などを目的に、業界標準のクラウドサービスを利用して国際線予約システムを大きく刷新した。このシステムの実現で鍵となる社内外のデータ提供基盤に採用されたのが、高いデータ処理能力を備える「Oracle Exadata」である。[プライベートクラウド/データベース統合][Engineered System]
英スカイトラックスによる航空会社の格付けにおいて、2013年から4年連続で世界最高評価の“5スター”を獲得している全日本空輸(以下、ANA)。同社は、これまで数多くのチャレンジを重ねることによって成長を続けてきた。そうしたチャレンジの1つとして挙げられるのが、1986年に開始した国際線定期便の運航である。初めは「成田−グアム線」、次いで「成田−ロサンゼルス線」「成田−ワシントンDC線」と順次国際定期便を拡大した同社は、1999年には世界最大の航空連合であるスターアライアンスへの加盟も果たしている。
このようにビジネスを拡大してきたANAは現在、国内最大のフルサービスキャリアの地位を得て、また世界有数の航空会社の一角を占める。近年は海外から日本へ渡航するインバウンド需要の増加が続いており、同社は自社航空路線および所属するスターアライアンスのメンバー航空会社とのコードシェア便を拡大しながら、国際線事業を急速に拡大している。
こうした同社の成長戦略を下支えするものとして、ANAは国際線予約システムの近代化を決意する。その裏側には、25年前に構築された既存の国際線予約システムが抱える課題があったと語るのは、ANAの情報システム企画を担うANAシステムズの斉藤一政氏(ITソリューション部 次期共通基盤開発プロジェクトのプロジェクトマネージャー)だ。
「従来の国際線予約システムは、25年間にわたって運用し続けた結果、制度変更に対応するための修正などでシステムが複雑化していました。また、システムがアセンブラによって開発されていたため、保守要員の確保が難しかったことも大きな課題でした」(斉藤氏)
これらの課題を解決するためにANAが選択したのが、今日、世界中の航空会社が採用しているグローバル予約/旅客サービスシステムの1つであるAmadeus(アマデウス)社の「Altéa」だ。ANAの中村健治氏(業務プロセス改革室 ITサービス推進部 主席部員)は、この決断の背景には各国の航空会社が従来のように自社でシステムを開発/運用するのでなく、専業プロバイダーが提供するクラウドサービスを活用する形態へとシフトする流れがあると説明する。
「世界的な流れを見ると、各国の主要な航空会社はこれまでのように自社でシステムを開発/運用するというスタイルから、外部より提供されるクラウドサービスを使うという方向に大きく舵をとっています。当社もこの流れに乗るべきだと判断したことも、国際線予約システムの刷新を決めた理由の1つでした」
外部サービスの活用にはさまざまなメリットがあるが、その1つに挙げられるのが「制度変更への対応コストの低減」だ。航空業界の制度はIATA(International Air Transport Association:国際航空運送協会)などによって制定されているが、制度に変更が生じれば当然、その影響はシステムにも及ぶ。自社システムとして運用する場合は制度変更の度に自力で対応する必要があるが、サービス側で制度変更への対応が行われれば各航空会社が個別に対応する必要はなくなる。古いホスト上でアセンブラによって構築されたシステムを利用しているANAにとって、このメリットは特に大きかった。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年2月28日
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