Oracle Exadata X2導入後もメディアドゥのビジネスは順調に拡大し、2015年6月には配信量が月間1億ダウンロードを突破するまでに至る。当時のシステム環境でも月間3億ダウンロード程度までは対応できると山田氏は踏んでいたが、将来的な事業の拡大に備え、月間60億ダウンロードに耐えられる環境を整えることにした。そこで新たなデータベース基盤として選ばれたのがOracle Exadata X5である。この選定のポイントとなったのは、「高い拡張性を備えていることと、オールフラッシュストレージによりI/O性能をさらに高められること」だったと山田氏は振り返る。
また、メディアドゥは災害対策や計画停止時間の最短化を目的に、国内2拠点にOracle Exadata X5を導入して「Active Data Guard」でリアルタイムに同期する構成を採る。このうち、スタンバイ側となるOracle Exadata X5は、SQLのテストなどを行う開発/検証環境としても活用する。それぞれのサイトでは「Oracle ZFS Storage」を使ったバックアップも行われ、確実にデータを保護する環境が整った。
Oracle Exadata X2からX5へのデータ移行では、停止時間を最短化できる「Data Pump」による方法が選択された。
「移行時の要件に、コンテンツ配信サービスを止めないことがありました。多数の読者と出版社、販売サイトが利用しているため、止める際の調整の負担が極めて大きいのです。そこで、サービスを止めずに移行する方法を考える必要がありました」(山田氏)
実は、Oracle Exadata X2導入時も同様にサービスを止められなかったため、Data Pumpによるデータ移行が行われている。その経験を基に、X2からX5への移行でも同じ方法が採用されたわけだ。具体的な作業の内容を、山田氏は次のように説明する。
「まず事前作業として、Data Pumpを使って旧環境のデータをエクスポートし、新しいデータベースにインポートしました。当然、その間もOLTP処理が走っているため、どうしてもデータに差分が生じます。そこでバッチを自作し、差分を検出して新データベースにコピーするという作業を行いました。この際、一部の更新処理については、新旧両方のデータベースに書き込むかたちで対応しています」
切り替えの1カ月前からこうした作業を実施して準備を進め、2015年11月に一晩で切り替えを完了させた。このとき、集計系のバッチ処理や新規コンテンツの投入などは停止したが、コンテンツの購入や再ダウンロードといった配信サービスは継続したままでの切り替え作業であった。そして最後に、Webサーバやバッチサーバのプログラムを順次差し替え、接続先をOracle Exadata X5に切り替えている。
X5への移行の効果について、山田氏は各種バッチ処理の時間がX2よりもさらに短縮されたこと、オールフラッシュであるため、どのオブジェクトをフラッシュ上に配置するかといったことで頭を悩ませずに済むようになったことなどを挙げる。なお、X5の導入では、使用コア数に応じてOracle Databaseなどのライセンス費用を支払う「Capacity on Demand」を利用することで初期コストを抑えつつ、将来的な拡張性を確保している。
運用については、X5を導入したタイミングでリモート障害監視や迅速なサポート対応、オラクルによるリモートパッチ適用などのサービスが受けられる「Oracle Platinum Services」を導入した。山田氏は同サービスについて、「運用負担の軽減や障害解決の迅速化などに貢献するはず」と期待を語る。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年4月27日
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