積極的な海外展開を続ける日本ペイントホールディングスは、グループ10数社が利用する各種データベースをOracle SuperCluster M7上に統合。そのデータベースバックアップ環境に「Zero Data Loss Recovery Appliance」を導入し、リアルタイムバックアップの環境を整えた。[プライベートクラウド/データベース統合][Engineered System]
日本ペイントホールディングスは2017年1月、SAPの会計アプリケーションを含むグループ各社のシステムで使う各種データベースと、Javaなどで開発された基幹系業務アプリケーションを「Oracle SuperCluster M7」の上に集約。そのデータベースバックアップ環境として「Zero Data Loss Recovery Appliance」を導入し、高いパフォーマンスと信頼性、運用性を備えた統合インフラの全面稼働をスタートした。プロジェクトを主導した同社キーマンと、その支援に当たったSCSKのスペシャリストらに、製品選定の理由と導入効果を聞いた。
1881年の創業から136年の歴史を誇り、総合塗料メーカーとして自動車から船舶、一般家屋まで、さまざまな塗料製品の製造/販売を手掛ける日本ペイントホールディングス。同社グループは2014年、各事業領域における経営責任の明確化と地域や事業の成長モデルに応じたポートフォリオ経営を行うことを企図して持ち株会社制へと移行。それに伴い設立された日本ペイントホールディングスは、配下に日本ペイントのほか、自動車向け塗料事業を担う日本ペイント・オートモーティブコーティングス、産業機器向け塗料を扱う日本ペイント・インダストリアルコーティングス、船舶向け塗料を扱う日本ペイントマリン、家庭用向け塗料を扱うニッペホームプロダクツなど多くの塗料メーカーを擁する。
また、海外への事業展開も精力的に進めており、中国をはじめとするアジア各国と欧州、米国の各所に多数の子会社および事業拠点を構える。さらに、2014年にシンガポールの大手塗料メーカーであるウットラムとの戦略提携を強化。同社との間で設立した合弁会社群を傘下に収め、現在は欧米のビッグスリー*1に次ぐ世界第4位、アジアNo.1の売上高*2を誇る日本ペイントホールディングスは、“グローバルペイントメジャー”を目指してさらに躍進すべく歩を進めている。
日本ペイントホールディングスでは、持ち株会社制への移行前の旧日本ペイント時代より、社内のITシステムを集約する取り組みを着々と進めてきた。この中でITインフラの集約を主導してきたのが、日本ペイントホールディングス 情報システム部の神原謙一氏(Infra & Apps統括/システム企画推進グループ マネージャー)だ。
「各事業部門が使うシステムは、以前はデータベースを含むITインフラとアプリケーションが個別に設計/構築され、完全なサイロ型として運用されていました。その状態でも、個別のシステムに完結して利用する分には問題ないのですが、複数のシステムを連携させようとすると、リソースの使用効率や性能に偏りが発生します。それを改善するために個別にリソースを増強するのはコスト効率が悪いため、アプリケーションとITインフラを分離した設計思想を取り入れてきました」(神原氏)
サーバマシンについては、OLTP処理とバッチ処理の混在環境でも高いパフォーマンスで安定稼働するUNIXプラットフォームが最適と考え、Solaris/SPARCマシンを採用。そのプラットフォーム上で、部門横断的にITインフラを一元管理し、個々のアプリケーションは各担当部門とITベンダーが構築するといった具合に役割を分担。アプリケーションの稼働に必要なITリソースを仮想化技術も駆使しながら提供し、システム全体を効率的に運用するというアプローチをとってきたのだ。
同社は持ち株会社制への移行を機に、このアプローチをさらに加速。現在は日本ペイントホールディングスの情報システム部が一括してグループ各社のITインフラ構築および運用管理を行う体制に移行しているが、サーバマシンの更改を控えた2015年、各社が利用するデータベース/アプリケーションのITインフラを1つに集約するプロジェクトが始動する。
このプロジェクトで統合対象となったのは、グループ10数社が利用するデータベースと基幹系アプリケーションと2014年からグループ各社への導入を開始したSAPの会計アプリケーションで利用するデータベースである(データベースの規模は、基幹系データベースが約1.2TB、SAP用データベースが1.5TB、その他に人事系データベースが約1TB)。これらのシステムで利用していたハードウェアとしては、Windowsサーバで運用するSAP会計アプリケーション用サーバを除く全て、すなわちOracle Databaseが稼働する3台のSPARC Enterprise M4000、そのサブとして利用していた同M3000(1台)、同T5120(1台)といったデータベースサーバに加えて、基幹系アプリケーションで利用していた5台のSPARC Enterprise Tサーバ、さらにはバックアップなどに利用していた大型のストレージサーバが統合対象となった。
この取り組みを推進するうえで大きな課題として浮上したのが、大規模なデータベース/アプリケーションの集約に耐える統合インフラの実現である。
「今回の統合対象としたのはグループ10数社のデータベース/アプリケーションですが、その後もグループ各社のデータベース/アプリケーションを順次統合していくことが見込まれていました。それら全てを1つのITインフラに集約すれば、扱うデータベースの数やデータ量は過去とは比べものにならないほど大規模になります。当然、統合インフラには、それらを円滑に処理できる圧倒的なパフォーマンスが求められました。
また、さまざまな事業を支えるデータベース/アプリケーションを集約すれば、海外拠点のシステムとの連携が増えることが予想されます。そうなると、従来のように国内利用だけを想定してメンテナンスのために長時間データベースを止めるといったことが行いづらくなります。従って、バックアップなどでデータベースを止める時間を極力短くする必要がありました」(神原氏)
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年5月9日
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