今回のプロジェクトで、Oracle SuperCluster M7とZero Data Loss Recovery ApplianceへのITインフラ統合が終わったわけではない。今年(2017年)、別の子会社のシステムを追加統合する予定にしている他、「塗料製品などの開発で利用する技術系システムも年内に統合したい」と神原氏は話す。
「今後、海外展開を進める中で新たにシステムが必要となった際、それを十分に受け入れられるだけのパフォーマンスや運用性、信頼性も担保できました。Oracle Databaseを使うデータベースやアプリケーションは、何でもOracle SuperCluster M7とZero Data Loss Recovery Applianceの中に入れてしまいたいですね。この統合インフラなら、当社のシステムを無限に集約していけそうな気がしています(笑)」(神原氏)
また池田氏は、いずれはWindowsサーバで運用するSAPの会計アプリケーションについても、Oracle SuperCluster M7に移行するのが理想的だと考えている。
「SAP用のデータベースは導入からあまり期間が経過していないこともあり、現状は余裕がありますが、旧インフラを使い続けていれば、いずれデータ量の増大に伴うパフォーマンスの問題が生じると懸念していました。今回、Oracle SuperCluster M7に移行したことで、この懸念は一部解消されました。加えて、アプリケーションサーバとデータベースサーバが高速なInfiniBandで内部接続されていることから、アプリケーションもこのインフラに移行すれば、将来的なパフォーマンス面の問題がさらに解消されます。これについては今後、アプリケーション担当の皆さんも巻き込んで検討していければと思います」(池田氏)
Zero Data Loss Recovery Applianceならではの活用法も検討している。
「例えば、アプリケーションを改修する際には、その都度テスト用データベースを使って動作を検証したうえで本番環境に適用します。このテスト用データベースを、従来はストレージ製品の機能によりバックアップからコピーして作成していましたが、Zero Data Loss Recovery Applianceならば本番環境の複製を簡単に作れるので、テスト環境の準備が容易に行えますし、アプリケーション担当者の要求にスピーディに対応していけると期待しています」(池田氏)
このようにさらなるメリットが見込まれる新統合インフラだが、その活用は端緒についたばかりだと麻氏は気を引き締める。
「Oracle SuperCluster M7には、データベース検索を高速化するSmart Scanやデータ圧縮技術のHybrid Columnar Compressionなど、革新的な技術が多く組み込まれています。現在の私たちは、これらをフルに使いこなせるレベルには達しておらず、今後はガンガン使い込みながら経験を積んでいきたいと思います。Zero Data Loss Recovery Applianceによるリアルタイムバックアップも運用性や可用性の面で多大なメリットをもたらしますが、従来のバックアップ手法とは考え方が大きく変わる点には早く慣れなければいけません。まだ本番運用フェーズでのリカバリーを経験していないため少し不安もありますが、オラクルが開発した技術なので大丈夫でしょう(笑)」(麻氏)
Oracle SuperCluster M7の目玉であるSPARCプロセッサによるデータベース高速化機能のソフトウェア・イン・シリコン(Software in Silicon)やOracle Database In-Memoryといった機能についても、コストと効果のバランスを考慮しながら有効な活用法を模索したいと神原氏は話す。
「私は、導入した製品を単にそのまま使うだけで十分だとは思っていません。特にOracle SuperCluster M7やZero Data Loss Recovery Applianceのような製品には、目玉となる機能のほかにもさまざまな新技術が投入され、その有効性をオラクルが十分に検証したうえで世に送り出しているはずです。それらの機能を熟知して使いこなすことで、これまで手間やコストをかけていた部分をさらに効率化できるでしょう」
そして最後に、オラクルに対する期待/要望を次のように語った。
「今後も、Oracle SuperClusterやZero Data Loss Recovery Applianceのような高い信頼性を備えたエンタープライズ向けの製品を提供し続けていってほしいですね。また、Software in Siliconのような新技術の有効な使い方を豊富に示していただきたい。こうした革新的な技術が、当社のIT環境を変革していくうえで重要な鍵となります。それらの情報は積極的にキャッチアップし、当社のITインフラ構想にうまく取り込んでいきたいと思っています」(神原氏)
以上、ここでは日本ペイントホールディングスがOracle SuperCluster M7とZero Data Loss Recovery Applianceを核に進めるITインフラ統合プロジェクトの概要を紹介した。SAP用データベースを含むグループ各社のITインフラとアプリケーションを1つに集約可能な新インフラにより、同社が長年求めてきたITインフラの理想型がひとまず完成した。この統合インフラの上で、2020年までに連結売上高1兆円を達成し、ビッグスリーと肩を並べるグローバルペイントメジャーとなるべく、同社のさらなる成長が続いていく。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年5月9日
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