Analysis Servicesを使って多次元分析に挑戦しよう:SQL Server 2005で学ぶデータ分析(3)(3/3 ページ)
ビジネスインテリジェンス(BI)の概要を解説した記事が多くのメディアで取り上げられるようになり、その基本的な理解は深まったと思われる。このような現状を踏まえ、本連載ではさらに一歩踏み込んだ内容として、データ分析の手法や注意点に焦点を絞った実践的な解説を展開する。(編集部)
よく使われる分析機能の実現方法
ここでは、作成したキューブをさらに機能的に使うための設定について補足します。
「計算されるメンバ」の活用
計算されるメンバとは、計算式を記述することにより分析実行時に動的に算出されるメジャーです。計算式には「MDX」というクエリ言語を利用しますが、理解するのは難しいので、分析でよく使う前年対比を求めるための前年売上金額と比率を計算するサンプルを記載します(図14)。
「ディメンションウィザード」を利用したディメンションの作成
キューブ作成前にあらかじめディメンションを用意しておき、キューブウィザード内で作成済みのディメンションを追加する方法でキューブを構築することも可能です。ディメンションの構築には、ディメンションウィザードが利用できます。ディメンションウィザードにおいて、表示名称列とキー列を別々に定義することも可能です(図15)。
Excelピボットの書式設定
Excelピボットテーブル上で右クリックし「オプション(O)」を選択することにより、ピボットテーブル内の要素の表示についてさまざまなオプション設定ができます(図16)。オプションの一例を表1に記載します。
オプション | チェックしたときの動作 |
---|---|
行の総計 | 最後の列の横に[総計]列を表示 |
列の総計 | ピボットテーブルの一番下に[総計]行を表示 |
表のオートフォーマット | セルのデータに合わせてピボットテーブルを自動的に調整 |
開くときに更新する | Excelブックを開くときに自動的に分析サーバに接続して、データをリフレッシュして表示 |
エラー値に表示する値 | エラーメッセージ(#DIV/0!など)の代わりにセルに表示するテキストを指定 |
空白セルに表示する値 | 空白セルの代わりにセルに表示するテキストを指定 |
表1 Excelピボットテーブルオプションの説明 |
SQL Server 2005での改善点
SSASにおいては、前バージョンのSQL Server 2000と比べさまざまな追加機能や操作性の改善が行われています。主なものとして、運用面では障害に備えたフェールオーバークラスタリング機能が加わったことや、処理機能が大幅に向上したこと、そして分析面では、2007年1月30日にパッケージ製品として発売が開始された「the 2007 Microsoft Office system」のExcel 2007と組み合わせることにより、KPI(重要業績評価指標)を利用した情報分析が可能になったことが挙げられます(図17)。
まとめ
本稿では多次元データ分析の実践として、SSASを利用した多次元データベースの構築について紹介しました。以前は高価で敷居が高いイメージのあった多次元分析ツールも、SSASが提供するウィザードに従って操作を行うことで手軽に構築できます。しかし実際には、今回記載しきれなかった処理モードの選定(MOLAP/HOLAP/ROLAP)、セキュリティ設定(ロール)、集計パターンの検討、そのほかさまざまなプロパティ設定などいろいろ考慮すべき点があることを最後に加えておきます。
次回はMicrosoft SQL Server 2005 Reporting Servicesによるレポート作成の実践について解説します。
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