“ざっと見”で理解する2008導入のメリット:一気に分かるSQL Server 2008 新機能(1)(2/3 ページ)
2008年2月19日にSQL Server 2008 の評価版であるCTP2月版がダウンロード可能となりました※1。今回のCTP2月版は遂に日本語対応がなされ、いよいよ市場リリースが近いことを予感させます。本連載では今回はSQL Server 2008の概要をご紹介し、第2回、第3回にてデータベースエンジンやビジネスインテリジェンス(BI)を実現するコンポーネントであるAnalysis ServicesやReporting Servicesの新機能を取り上げる予定です。※1 CTP = Community Technology Preview
ピンポイントでつかむSQL Server 2008導入のメリット
表1で紹介した機能の中からSQL Server 2008の特徴ごとに代表的な機能について補足説明と注目ポイントを紹介します。それぞれの詳細については、本連載第2回、第3回にて解説しますが、まずは本稿で全体像と導入のメリットをさらっと把握しておきましょう。
コンプライアンスソリューションの実装
−透過的データ暗号化
SQL Server 2008では透過的暗号化を実装し、アプリケーションの変更を行うことなくデータベース単位で暗号化できます。
しかし、暗号化データの操作はCPUリソースの消費が大きくなります。そのため、暗号化範囲を極小化できる暗号化関数(SQL Server 2005からの機能)による暗号化と、暗号化範囲が大きな透過的暗号化は場合によって使い分ける必要があると筆者は考えています。
−全操作監査
SQL Server 2008では全操作監査機能が実装され、いつ誰が何をしたのかを完全に監査が可能となりました。SQL Server 2005ではプロファイラとSQL Traceを利用しており、レポート機能は存在しませんでしたが、SQL Server 2008では取得した監査データはファイルやWindowsのアプリケーションログへ出力することで、監査結果の一元管理が可能となっています。
また、監査レポートが簡単に作成できるため、企業のコンプライアンス対策の1つとして有効な機能であるといえます。
−ポリシーベースでの一元管理
管理者が定義したポリシーを企業内に存在するほかのSQL Serverに適用できるようになりました。ポリシーとはセキュリティポリシー、オブジェクト命名規則、DBオプション設定などを指します。
このポリシーベースの管理がSQL Server 2008だけでなく、SQL Server 2000/2005のデータベースで可能になることは大きな利点です。ポリシーに反する設定の禁止、必須設定項目の強制ができるため、管理者は目視での確認をする必要がなく、管理コストの削減につながります。
サーバ統合シナリオへの対応
−リソースガバナーによる柔軟な管理
リソースガバナーを使うことで、ワークロードにリソース利用の優先順位を付けることができます。複数の業務を統合し業務の優先度がある場合、バッチ処理とオンライン処理を時間帯によって優先度を変えたい、月次処理などの一時的なリソース増加に対応したいなど、さまざまな使い方が考えられます。
管理者の手間は増加する可能性がありますが、ハードウェアコストを抑制する効果が期待できそうです。
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