X Window System の仕組みと設定:実践でも役立つLPICドリル(4)(4/4 ページ)
本連載は、Linux 認定試験 LPICに対応しています。一般的なLinuxユーザーレベルのトピックは省略し、システム管理とサーバ管理の内容を取り上げています。また、LPIC対策だけでなく、関連するトピックについて系統的な理解を問う問題も出題しています。連載の特徴は、対象となるプログラムのバージョンを可能な限り明記していること、比較的新しくまとまった解説がまだ少ないトピック、重要だが理解しにくいトピックを優先して取り上げていることです。問題を解き、その解説を読むことにより実践でLinuxを活用できる力を身に付けます。
問題3
ある設定ファイルを変更してシステムを再起動し、ログインしました。X Window Systemが立ち上がったところで、Xのクライアントアプリケーションを起動したところ、ウィンドウヘッダのデザインが次のように変わりました。
どのような設定変更により、このような結果となりますか? なお、統合デスクトップ環境には標準のウィンドウマネージャが設定されているものとします(2つ選択)。
[試験対策の重要度:(level1)* (level2)-]
a.統合デスクトップ環境をGNOMEからKDEに変更した
b.Xサーバの設定ファイルxorg.confの記述を変更した
c.ディスプレイマネージャをgdmからkdmに変更した
d.ウィンドウマネージャをmetacityからkwinに変更した
正解
a、d
解説
ウィンドウフレームのデザインはウィンドウマネージャによって決まります。ウィンドウマネージャが変更される、選択肢aと選択性dが正解です。
選択肢bのxorg.confはXサーバの設定ファイルなので、ウィンドウマネージャの設定とは関係ありません。
選択肢cのディスプレイマネージャを変更しても、ウィンドウマネージャは変更されません。
問題4
次の設定のうち、Xサーバが正しく起動する設定はどれですか?(1つ選択):
[試験対策の重要度:(level1)** (level2)-]
a.xorg.confのSection “Files”の中で、FontPath "unix/:7100"と記述し、ローカルのxfsは起動せずリモートホスト上でxfsを待機ポート番号7100で起動した
b.xorg.confのSection “Fonts”の中で、FontPath "unix/:7100"と記述し、ローカルのxfsを起動した
c.xorg.confのSection “Fonts”の中で、FontPathの値として、インストールされているフォントのパスを記述した
d.xorg.confのSection “Files”の中で、FontPathの値として、インストールされているフォントのパスを記述した
正解
d
解説
a."unix/:7100" はローカルのフォントサーバを使う指定なので、ローカルでxfsが起動している必要があります。
b.Section は“Fonts” ではなく、“Files”でなければなりません。
c.Section は“Fonts” ではなく、“Files”でなければなりません。
d.これがXサーバが直接フォントを参照するための正しい記述です。
問題5
ローカルホスト上のXサーバとリモートホスト上のXクライアントの通信について、正しい記述はどれですか?(2つ選択)
[試験対策の重要度:(level1)** (level2)-]
a. ローカルホストとリモートホストのCPUアーキテクチャは同一でなければならない
b. ローカルホストとリモートホストのOSは同一でなければならない(サーバがLinuxならクライアントもLinuxでなければならない)
c. サーバ側で「xhost +」あるいは「xhost クライアント名」としてクライアントからのアクセスが許可されていなければならない
d. クライアント側で「xhost +」あるいは「xhost クライアント名」としてクライアントからのアクセスが許可されていなければならない
e. ディスプレイ番号が1のXサーバにアクセスするには、クライアントの環境変数DISPLAYの値はサーバ名:1.0とする
正解
c、e
解説
XサーバとXクライアントはXプロトコルを使って通信するので、CPUアーキテクチャやOSのアーキテクチャには依存しません。従って、選択肢aと選択肢bは間違いです。
xhostはXサーバ側で実行する、Xクライアントからのアクセスを制御するコマンドです。従って、選択肢cは正解、選択肢dは間違いです。
Xサーバは次のフォームのディスプレイ名を持ちます。
ホスト名:ディスプレイ番号.スクリーン番号
ディスプレイ番号のデフォルトは0です。Xnestのようなネストされたサーバを起動する場合、ディスプレイ番号は1あるいは2など、重複しないディスプレイ番号を使います。
モニタが1台の場合は、モニタのスクリーン番号は0になります。キーボードとマウスを共有するモニタが複数(例えば2台)あるシステムでは、モニタにスクリーン番号0と1を割り当てます。
ディスプレイ名 “ホスト名:ディスプレイ番号.スクリーン番号”はクライアントがどのXサーバにリクエストを出すかを指定するときに使用します。従って、選択肢eは正解です。
大問5問お疲れさまでした。次回は「カーネル」の問題を出題します。
筆者プロフィール
大竹龍史
有限会社ナレッジデザイン 代表取締役。1980年代に日本コンピュータビジョン社にてサン・マイクロシステムズのWorkstation、Sun2に出合って以来、サン関連のサポート、社内教育、ユーザー教育に従事。1998年、Netscape(現在はサンのSJESプロダクトに引き継がれている)とLinuxのトレーニングを提供する有限会社ナレッジデザインを設立。現在はLinuxとSolarisのシステム管理、ネットワーク管理、サーバ構築を担当。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.