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日本伝統の島型オフィスは本当に正しいのか特集:ITエンジニアを変えるオフィス(5)(3/3 ページ)

あなたのオフィスに「島」はあるだろうか。日本のオフィスのほとんどは「島型」である。伝統的なこの形式は、果たしてナレッジワーカーにとって理想的といえるのだろうか。島型オフィスが普及した背景と、現代における「変形島型オフィス」の可能性を探る。

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コラム:姿勢を良くするデスクのススメ/ヘルシーデスク

 劣悪なオフィスでワーカーたちが仕事に励んでいる様子を見るにつけ、一体日本はどうなっているのかと思う。

 過去四半世紀にわたってオフィス機器などの導入の歴史を体験している筆者は思う。ナレッジワーカーの姿勢は、さまざまなオフィス機器の導入の結果、悪くなることはあっても良くはなっていない。パソコンを使用中のワーカーが良い作業姿勢を維持することは、パソコンのマニュアルや会社の健康管理教育の重要な項目であるが、それにもかかわらず、オフィスで働くワーカーの姿勢は良くならない。

 ワーカーに与えられている機器が、必然的にワーカーの姿勢を悪くしているのである。その元凶は2つ。マウスとノートパソコンである。これら2つの機器はワーカーの両手と頭部をノートパソコンの近くに固定してしまう。エルゴノミクスでいう「視野と作業域の縮小」である。その結果、ワーカーの姿勢は猫背になってしまう。

 対策は、ノートパソコンに外付けのキーボードとモニターを追加することで、視野と作業域の拡大を図ることである。パソコン用の眼鏡を使うことも中高年以上の方には良い結果を生む。筆者はこれらすべての対策を行っている。それでもなかなか猫背は直らない。そこでヘルシーデスクの提案である。

 このデスクは、胸を張ることで猫背を解消しようとするためのものである。胸を張ることによる筋肉の増強には貢献しそうである。

デスクの構造

 デスクに写真10のようなくり抜き部分を設けた。このくり抜きは、身体形状と可動域を考慮して決定した。胸を張るには、胸を前に突き出すことも必要だが、腕(肩)を後ろに引くと楽にできる。この原理の応用である。

写真10 ヘルシーデスク
写真10 ヘルシーデスク

 体が机に深く入ることで肩甲骨が背骨側に寄る。肩甲骨のラインが美しく見え、姿勢が良くなる。写真11のような姿勢でマウスを使うと肩甲骨まわりの筋肉を刺激することが実感できる。

写真11 体を机に深く入れると肩甲骨のラインも美しく見える
写真11 体を机に深く入れると肩甲骨のラインも美しく見える

 このような姿勢での作業により、正しく骨格に筋肉が付き、血流も良くなり、神経伝達も良くなることが期待できる。

 このデスクは、こじんまりとした島型にすることができる(図2)。

図2 ヘルシーデスクの拡張性
図2 ヘルシーデスクの拡張性

 1週間、毎日更新でお送りした特集「ITエンジニアを変えるオフィス」はいかがだっただろうか。

 オフィス環境はITエンジニアの生産性に大きな影響を与える。とはいえ、いち社員がオフィスを変えることは難しい――と思いがちである。

 だが、オフィスとはそこで働くすべての人間が声を挙げ、改善していくべきものではないだろうか。そのためには知識が必要だ。オフィスが従業員に与える影響を知り、IT企業のオフィス施策を知る。そうして得た知識は、自らのオフィスを、引いては「自分の働く環境」を改善するためのヒントとなるはずだ。

 この特集が、ほんの少しでもあなたの役に立ったのであれば幸いである。

著者紹介

野呂影勇(のろかげゆう)

専攻:エルゴノミクス(人間工学)、特に商品の開発。

早稲田大学理工学部卒、慶応義塾大学講師などを経て、2007年より早稲田大学名誉教授およびエルゴシーティングCEOに就任。2001年より3年にわたりダイムラー・クライスラーでベンツのコントロールデバイスに携わった。そのほか、旅客機のシート(JAL、2005)、カーナビゲーションシステム(パイオニア、2005)、ペン(ゼブラ、2006)の開発にかかわる。最近はキッチンナイフの開発を藤寅工業と共に行っている。早稲田大学 野呂研究室エルゴシーティング


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