3.7から使えるようになった3つの便利なプラグイン
Eclipse 3.7の新機能ではなく、デフォルトでEclipseには含まれませんが、Indigoデフォルトのアップデートサイト、もしくはEclipse Marketplaceからインストールできるようになった、便利なプラグインを3つ紹介します。
- EGitプラグイン
- M2Eプラグイン
- WindowsBuilderプラグイン
[1]EGitプラグインが1.0としてリリース
Eclipseでは、人気の分散バージョン管理システム「Git」をサポートする「EGit」プラグインが開発されていましたが、ついにバージョン1.0としてリリースされました。機能、安定性ともに実用に十分なレベルになりました。正確には、EGitはEclipse 3.6から使えていましたが、1.0になったということで紹介します。
EGitでは、プル、プッシュ、コミットにブランチ/タグの管理など、Gitリポジトリの操作に必要な一通りのことは、Eclipse上でできるようになります。
[2]Mavenサポートを追加するM2Eプラグインの提供
ビルドシステムであるMavenが徐々にプロジェクトで利用されるようになってきていますが、3.7からは、アップデートサイトからMavenサポートをEclipseに追加するM2Eプラグイン(m2eclipseプラグイン)がインストールできるようになりました。
m2eclipseについては、若干古いですが、連載「CoolなEclipseプラグイン」第11回「ビルドを効率化するEclipseプラグイン」などを参考にしてください。
[3]WindowBuilderによるGUIアプリ開発のサポート
以前、Instantiationsという企業が「WindowsBuilder」と呼ばれるEclipseのGUI開発環境を開発していましたが、その後、グーグルがInstantiationsを買収し、グーグルがWindowsBuilderをEclipse Foundationへ寄贈しました。3.7からは、このWindowBuilderがEclipseのアップデートサイトやEclipse Marketplaceよりインストールして利用できるようになりました。
WindowsBuilderを利用することにより、ドラッグ&ドロップでコントロールの配置を行い、イベントハンドラの追加、コントロールのプロパティの編集などで、WYSIWYGでSWT/SwingのGUIアプリケーション、GWTを用いたWebアプリケーションの開発ができます。
また、アプリケーションの国際化もサポートされています。
e4とOrionに見るEclipseの未来
さて、Eclipseの最新であるIndigoについて紹介してきましたが、次に次世代のEclipseであるEclipse 4.xと、Webベースの開発環境であるOrionについて紹介します。
Eclipse 4.1のリリース
現在の安定バージョンのEclipseは3.7ですが、それとは別に「e4」と呼ばれる次世代のEclipseが開発されています。次世代プラットフォームのEclipseの初期バージョンという位置付けでEclipse-SDK 4.1も同時にリリースされました。
Eclipse4.xからは、モデルベースUIフレームワーク、CSSベースのUIのスタイル設定、サービス指向プログラミングモデルなど、Eclipse自身あるいはプラグインを開発する上での内部的な仕組みが変更・追加されています。
ユーザーの目に見えるところでは、まず、ビューとエディタのレイアウトが可能となっています。3.xまでエディタの領域にビューを置くことはできず、逆もまたしかりでした。4.xからはビュー・エディタ区別なく自由に配置できます。
右上にクイックアクセス用のウィンドウが追加され、ファイルや各機能を簡単に表示/呼び出しができます。
なお、現在リリースされているのは、JavaとEclipseプラグイン開発機能、Eclipseのソースコードを含んだSDKのみで、Eclipse 3.x系のように、Java EEやC/C++用のエディションは用意されていないので、本格的な開発には機能が不足しているので、ご注意ください。
Webアプリとして動く開発環境「Orion」
今年の3月、Eclipseの開発者が集って取り組みの紹介やディスカッションを行う「EclipseCon 2011」が開催され、そののトピックの目玉として、Webベースの開発環境である「Orion」が注目されました。
Orionは、Webブラウザ上で動作する開発環境で、ユーザーはWebブラウザさえあれば、どこからでもアプリケーション開発ができるようになります。Webブラウザで利用できることから、クラウド開発環境への応用が期待されます。
プログラムコードもサーバ上で管理されるので、ノートPCの紛失による情報漏えいなどの心配もなくなりますし、サーバ側でRAIDなどでディスクの信頼性向上の対策を取っておけば、ディスクの故障によるデータの消失の心配もなくなります。
まだまだOrionは発展途上ですが、コードの編集程度はWebブラウザ上からできるようになっています。OrionのライブデモがWebサイトで利用できるので、興味がある方はぜひ試してみてください。
そして、Eclipseもクラウドへ?
Eclipse 3.xでは、CIサーバのHudson/Jenkinsのサポート、Mavenのサポート、WindowsBuilerの提供、GUIテストツールの提供と着実に成長しています。Eclipseは今後どうなっていくのでしょうか。
今回の記事で、GitをサポートするEGitプラグインがバージョン1.0に達したことをお伝えしましたが、Gitリポジトリをサービスとして提供する「GitHub」をMylynでサポートする「GitHub Mylyn Connector」なども提供されてきています。
GitHubは無料でOSSの開発で使えるのはもちろんのこと、有料プランを利用すれば、チームに閉じて利用できるプライベートリポジトリも作成できます。GitHubを使えば、Eclipse1つで開発できるようになります。
また、CIサーバはJenkinsのお膝元であるCloudBeeが提供しているクラウドサービスなどを利用すれば、CIやテスト環境もテスト環境もクラウドサービス上で行えます。
最終的に、今回紹介したWebベースの開発ツールであるOrionが完成した暁には、Eclipseをマシンにインストールする必要すらなくなり、Webブラウザさえあれば、Eclipseで全てを開発できる時代が来るかもしれません。
Eclipse 4.xもOrionも、まだ発展途上ではありますが、今後の展開に注目したいと思います。
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