2012年6月27日、Eclipseの最新バージョンであるEclipse 4.2がリリースされました。
Eclipse 3.5の「Gallileo」からは、Eclipseのリリースのネーミングは「G」「H」「I」「J」とアルファベット順の単語で始まる名前が投票によって名付けられています。Eclipse 3.7「Indigo」の次であるEclipse 4.2は「J」で始まる「Juno」(ユノ)と名付けられました。
Junoは、ローマ神話に出てくる、女性と結婚を守護する女神であり、6月を意味する「June」の由来ともなっています。Eclipseが6月にリリースされるという意味も込めてJunoが採用されたようです(残念ながら、未来を予測できる日記をテーマとした人気アニメのヒロインではないようです)。
そんなJunoですが、今回の目玉は何といっても前回の3.7から4.2とメジャーバージョンアップした点です。実は、2010年6月にElcipse 4.0がリリースされていましたが、開発版という位置付けで、今までは表立って4.xが出て来ることはありませんでした。Junoからは、ついに4.2が前面に出てのリリースとなり、EclipseのWebサイトからのダウンロードは4.2が標準となっています。本稿では、そんなJunoの魅力に迫ります。
なお3.x系についてはメンテナンスリリースとして3.8がリリースされています。Junoは、Eclipse 3.x系のプラグインを引き継いで利用できるように互換性を持っていますが、今まで利用していたプラグインが動作しない場合、または高い互換性を要求する場合は、Eclipse 3.8を選択して利用するという選択肢も残されています。
Eclipse 4.2を起動して、まず目に止まるのは刷新したスプラッシュ画面とワークベンチです。
スプラッシュ画面は若干ポップな感じもしますが、やぼったいIndigoのスプラッシュ画面に比べると、高級感が感じられます。また、ワークベンチのデザインも若干すっきりした感じになっています(私見ですが……)。
ビューやエディタは独立したウィンドウで表示できます。マルチディスプレイ環境などでは、左と右の画面に別々のコードを表示して見比べるなど、現在風の開発スタイルに対応できるようになりました。
また、今まではエディタとビューのペインが分かれていましたが、エディタにビューを追加したり、ビューにエディタを追加したり自由なレイアウトをできるようになり、シングルウィンドウを利用した場合でも、エディタを並べて表示できるなど、快適性が増しています。
Eclipseのコードアシストは非常に強力で、クラスやメソッドの補完により、Javaおよびその他の言語でのプログラマの負担を大幅に軽減してきまました。Junoからは、オプションではありますが、さらに強力なCode Recommendersプラグインが提供されるようになりました。
今までのコードアシストは、補完候補をアルファベット順に表示していましたが、Code Recommendersを利用すると、過去のコードの統計情報を基に、利用される可能性が高いメソッドの順番に表示してくれるようになります。
これにより、補完時の選択がスムーズになるとともに、初めて利用するクラスで似たようなメソッドがたくさんある場合でも、どのメソッドを利用するのが良いか、提示してくれるようになります。
Code Recommendersは「モデル」を定義して、そのモデルに従って補完候補を返すようになっています。そのため、Code Recommendersによる補完を利用するには、モデルが用意されている必要があります。現在は、Eclipse APIとJava標準APIの一部しかサポートされていませんが、これからサポートされるAPIは増えていく予定です。
また、独自APIを学習させるためのツールも提供されているので、独自に開発したライブラリの補完を効率化することも可能です。
下記のアップデートサイトを指定してプラグインをインストールします。
http://ftp.jaist.ac.jp/pub/eclipse/recommenders/updates/dev/e42/
インストール画面で、Code Recommenders - Eclipse 4.2以下のプラグインを選択します。
プロキシ環境では、「eclipse.ini」にプロキシの設定を追加する必要があるので注意してください。
…… -Dhttp.proxyHost=proxyhost.yourdomain.com -Dhttp.proxyPort=8080 ……
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